私は大学時代に女性専用の賃貸物件に住んでいた。
特定は避けたいので詳細は避けるけど、駅から徒歩圏内、家賃も安く初期費用もほぼかからず、清潔で住みやすい物件だった。
ただ条件があって、先ずは女性である事。専門でも大学でも学生である事(稀に10代の社会人もいた)。そして借りられるのは最長2年間まで。
『進学(や就職)で地方から出てくる女性を助けたい』という経営理念だから。
娘さんを都心に送り出す親御さんも安心、学生本人も慣れない新生活でも安心という場所にしたいということだった。
多くの入居者が2年間住み、その間にバイト代を貯金して巣立って行く。
だからこの物件は女学生専用(上記の様な例外あり)という入居条件は募集広告にも書いてあるし、不動産屋もそう案内している。
しかし年に数人は男性が申し込みにやってくる。
不動産屋が止めてくれるが、そもそも『女学生専用』なので、不動産屋が勧めることはないし、殆どの男性は広告を見て家賃額に目が行っても残念だな~で終わり。
でも中には強者がいる。
「金ないんすよ、人助けだと思って」
「俺無害なんで大丈夫です」
「男性差別だ、日本は男女平等ではないんですか」
「ガードマンとして住めますよ」
「好みうるさいんで」
「ビジネス?スクールに通うつもりなんで、学生です(30代の社会人)」
「大家の連絡先ください、直談判します」
「お姉ちゃんと一緒の所なら安心だから弟もお願いします(親御さんから)」等々。
上記の話をたまに来る大家さんから聞いていた。私が住んでいた2年間で5~6人くらいはいたと思う。
そして私が直接対応した男性もいた。その人は直接物件に来て「ここに住むみなさいと言われました」言ってきた。
大家さんを呼び詳しく聞くと「知人の占い師に言われた、ここに住むといいと言うんで来ました」と繰り返していたので、警察に来て頂きました。
後に聞くと不動産屋さんで建物の住所を覚え、外観写真を頼りに来たそうだ。
「女性に囲まれて生活したかった。それに女性だけだとつまらないだろうし、僕がいた方が楽しく生活できる」と考えて。
この事件が起きた後、入居者に何かあってからでは遅いともう広告には載せず、不動産屋に来店した女性だけに紹介しているそうだが、来月から管理人として再びこの物件に住む事になっている。
元レスリング部のおばちゃん(176cm94kg)が居るとなったらもう来る事もあるまい。