一旦帰宅したあと、部室に友達に借りた漫画を忘れてきたことを思い出して
別に翌日でも良かったんだけど、せっかく貸してもらったから翌朝には感想を言いたいっていう
無駄に律儀な考えと、その漫画を今すぐ読みたいと言う妙な欲が相まって
晩御飯を食べた後もう薄暗くなってるのに、怒る母親を無視して走って学校に向かった。
うちから学校まで300mぐらいで近かったってのもあった。
部室は校庭の隅っこの校舎と反対側の位置にあり、
塀がわりの垣根のもげた部分から当時は公然と出入りするような時代で私もそこから部室に向かった。
ちなみの当時の部室の鍵は、マイナスドライバーを鍵穴に突っ込んで回せば簡単に開くタイプのやつで
普段から職員室に取りに行くのが面倒な時、
代用できるもの(私の場合札の形の金属がついたキーホルダー)を持ってる生徒はそれで開けていた。
今思えば鷹揚だったのか危機感が足りなかったのか、そういう昭和の時代。
そして部室の扉を開けて自分のロッカーに向かおうとしたら、部室に足を踏み込んですぐに
ザワっとした気配を感じて振り向くのと同時に固い棒状のもので殴られた。
部活が部活だけに金属バットだと認識した。
自分で褒めるのもなんだけど運動神経は良かったから、瞬間的に避けて身体を落としたのが良かったのか頭は防御できた。
防御できたのに倒れ込んだところにあったベンチ椅子にしこたま頭をぶつけ、歯を食いしばりながら気を失ったふり。
犯人はすぐ逃げて行ったんだけど、足音が明らかに2人だった。
出ていって直ぐに扉を閉めて鍵をかけたのはいいが、外に出る勇気がなくて真っ暗な部室で泣きながら途方に暮れてた。
殴られた腕は超痛いし、どうしていいやらって修羅場だった。
1時間ぐらい経ってたと思うけど母親が探しに来てくれて、お母さんの言うこと聞かんからや!って怒られた。
翌日一応母親と共に担任教師に報告はしたけど、犯人捜しする手立てもないし
部室に忍び込んだことを怒られただけだった。
その日から、チームメイトのことを誰も彼も信用できなくなって、監督は一応事情は知ってるんだけど
でもどうしようもなくて、結局部活はやめた。