レッドは、リーダーシップのあるイケメン。運動も得意で、やたらもてる。
ブルーは、いつも冷静で、父子家庭のせいか、小さい頃からやたら大人びていた。
ホワイトは、女なんだけど、負けず嫌いで気が強く、面倒見がすごくいい。
俺はグリーンと言われた。チビメガネのガリ勉で、絵に描いたようないじめれっ子
これに、ブルーの妹(ピンク)が加わった5人で、よく遊んだ。
親同士も幼馴染だったり、学生時代の友人だったりしたので、家族ぐるみの付き合いをしてて、特にブルーの父は多忙な人だったので
レッド、ホワイト、俺家で夕飯食べたり泊まったりすることも多かった。
前述の通り。俺はものすごいチビメガネで、根暗な性格だったので、よくいじめられた。
歩けばどつかれるし、しゃがめば蹴られる。泣けばメガネザルが吠えてると言われた。
そんなときに、必ず駆けつけてくれたのが、ホワイトだった。
ホワイトは発育がよくて、クラスで目立つほど大きかったので、「こらー!」と叫びながら駆け寄ってくるだけで、いじめっ子は逃げていった。
ホワイトは、俺にしょっちゅう説教してきた。
「やられたら、やり返せばいいのよ!」と言うホワイトに「でも、蹴られたら痛いよ」と俺は言う。
そうするとホワイトは呆れて「グリーンは私がいないとだめね」といって説教が終わるのがお決まりだった。
俺は物心ついたときから、ホワイトのことが好きで、いじめられるのは嫌だったが、いつもホワイトが駆けつけてくれるのも、
いじめっ子を追い払った後、普段ツンツンしてるホワイトが優しくしてくれるのも、とてもうれしかった。
家の方向が同じなので、高校入るまで、ずっとホワイトと二人で登校してて、5人の中でも、特別俺たちは親しいと思っていた。
告白はできなかった。ホワイトに守られてる状態でっていうのが情けなかったし、断られたら、今までどおりに接してくれなくなるかもと思うと、怖かった。
せめて、ホワイトの世話にならないようになってから、と思ってた。
中学に上がると、レッドのイケメン具合に拍車がかかり、女子から絶大な人気を誇っていた。
それに関連して、レッドに親しい俺は女子から、レッドとのパイプ要員で重宝がられ、俺をいじめる→レッドの反感を買う→女子に総スカンを食らう→いじめた奴クラスで孤立
の図式が完成して、俺へのいじめは無くなった。
そんな頃、レッドに「お前、どうすんの?」ときかれた。レッドは、俺がホワイトを好きなこと知ってた。
変わらずに、ホワイトのことは好きだった。でも、今までの関係が壊れるのも嫌だった。
ホワイトの彼氏になって、手をつないだり、二人っきりで遊んだり、キスしたりしたいっていう感情が無いわけじゃなかったけど
俺の中では絶対そうしたいってものでもなかった。それをレッドに伝えると、「それでお前がいいなら」と言ってくれた。
俺は必死に勉強した。その結果、高校受験では、志望校に推薦合格できた。
レッドは、部活が強いと言う理由で、ホワイトは、成績的に妥当なところを、ブルーは、金銭的事情で、同じ高校を受けた。
俺は一足先に合格できたので、みんなの勉強を見たりした。その成果か、めでたく全員合格。
「すごい、すごい、全員受かってる」と、ホワイトは涙ぐみながら「グリーンのおかげだね、本当にうれしい」と、感極まって抱きつかれた。
そのとき、俺はホワイトよりも背が高くなっていた。
それに気づいたら、急にホワイトに気持ちを打ち明けたい衝動に駆られ、ついに俺は、入学式の日に告白しよう、と決心した。
ホワイトとブルーが付き合ってる、と知ったのは、卒業式の1日前だった。ブルーと俺とで、同じ高校に行けてよかったな、と休み時間に話してたら
「ブルーはいいよな、ホワイトさんもいるなら、初っ端から彼女持ちじゃん」と、俺たちの横を通り過ぎ様と、クラスの奴が言ったんだ。
目の前にブルーがいるのに、何故か俺はそう言った奴を問い詰めた。そして、美術室にいつも二人っきりでいること、二人で腕組んで歩いてるのを見た人もいる、と。
放心状態になりながら、ブルーに尋ねた。
俺「ホワイトと付き合ってんの?」
ブルー「グリーンのことはわかってたけど、グリーンを理由に断るのは何か違うと思った」
俺「答えになってないよ。ちゃんと答えて」
ブルー「俺としては、そういう気は無いけど、周りやホワイトが言うならそうなんだと思う」
埒が明かない、と思って、俺は衝動的にホワイトのクラスへ行った。
ホワイトを見つけて、廊下まで連れ出したはいいが、ホワイトを前にすると何も言えなかった。
「何?用事あるんじゃないの?」とホワイトにせっつかれて、ようやく俺は「ブルーと」とだけ言った。
それで察したのか、ホワイトは見たことも無いくらい可愛い顔して「うん、そうなの。ブルーと付き合ってるんだ」と口にした。
「レッドとグリーンに言っておきたかったんだけど、なんか照れくさくって。今まで黙っててごめんね?」
「でも、ブルーに聞いたら、そんな感じじゃなかったよ?」
腹の底から、すごく冷たい声が出た。俺の言葉に、ホワイトはちょっと顔を俯かせて
「ブルーは、恋人とか欲しくないんだって。でも、それでもいいんだ。なんかブルーって、ほっとけないって言うか」
言いながら、ホワイトはニコニコしていた。幸せそうな顔、というのか。
ブルーの母は、子供をほったらかしにして遊び歩く女だったそうで、ブルーの親父さんは相当苦労されたようだった。
だからか、ブルーは彼女も奥さんも欲しくない、と俺たちに言っていた。そういう奴だ、と俺もよく知っていたので、
ホワイトのゴリ押しでそういう関係に持っていったのが、目に浮かぶようだった。
その頃すでに10年以上の付き合いだったから、尚更、別の可能性を見出すことができなかった。
中学に入りたての頃、レッドが俺に「どうする?」と聞いた理由が分かったような気がした。
不思議と悲しくは無かった。その代わり、ブルーに対して、途方も無い憎悪が生まれた。
ホワイトのことを好きでもないのに、拒まないで、ホワイトを囲っているところが、たまらなくクズに思えた。
俺だったら、ホワイトを宝物のように扱うのに。俺だったらって、そればかり考えてた。
高校に入ってからは、ホワイトはブルーへの気持ちを隠すことも無くなり、ただひたすら、ブルーにベタ惚れしているようだった。
毎日弁当を作ってきて、絵を描いていたブルーの筆箱をチェックして。そろそろ切れそうな画材があれば、買い足していた。
ブルーはブルーで、彼氏としてそっけない態度を貫き通し、「本当に付き合ってるのか?」とレッドは首をかしげるほどだった。
そうすると、ホワイトがブチ切れて「ブルーは今のままでいいの!」と叫んだ。
不思議と、俺たち5人の付き合いは変わることは無かった。ブルーと二人で遊びに行くこともあった。
でも、ふとした拍子に、例えば駅のホームに立ってるブルーの背中を押したらどうなるんだろう、と思ったりした。
ブルーを押そうと両手を構えるんだけど、その度に、だとしても、ホワイトは俺に振り向いたりしないんだろうな、と結論付けて、手を下ろした。
そうこうしているうちに高校を卒業。
レッドは家業を継ぎ、ブルーは美大、ホワイトは地元公立大、俺は、遠方の大学へ入学。そのままそこで就職。
就職してから2年後、ブルーとホワイトが結婚したと、ホワイトから報告を受けた。
ブルーの意向で、式はやらないそうだが、ホワイトはとても幸せそうだった。
ブルーへの憎しみは消えないままだったが、それでも、ホワイトの笑顔が見れるなら、これが正解なんだろう、と
自分を無理やり納得させた。
どう職場に説明つけたかは忘れた。電車のダイヤも確認せず、会社にコートすら忘れて、新幹線に飛び乗っていた。
親は、あまりにも早く帰ってきた俺を見て驚きながらも、心臓麻痺で、突然だった、と口にした。
ブルーの遺体は、二人の新居には入らなかったのか、それとも同居してたのかブルーの実家にあった。
既にレッドはブルー父の手伝いをしていて、遺体の前では、放心したように正座するホワイトと、
そのホワイトの膝に顔をうずめて泣きじゃくるブルー妹の姿があった。
「しろちゃん」と、子供の頃からのあだ名で声をかけた。レッドもブルーも、とっくに「ホワイト」呼びに変えたのだが
俺だけは、何かの意地のように「しろちゃん」と呼び続けていた。
ホワイトは、俺に気づいて顔を上げた。しばらく俺を眺めた後、ぽつりと「大きくなったね」と言うので
「いまさらだよ」と答えると、寂しそうに笑った。ブルー妹は、まだ泣き続けていて、ホワイトは動けそうにも無かったので、
俺はレッドと一緒にブルー父の手伝いに回った。
「ブルー君の顔、みてあげたら?」とレッド母に言われたけど断った。レッド母は、辛いから、と解釈したみたいだけど
本音を言えば、ブルーの顔を見たら、死んでると分かってても首を絞めてしまいそうだったから。
そして、献花が終わり、棺に蓋をしようとしたとき、今まで気丈に振舞ってたホワイトが壊れた。「やめてえええ!」と金切り声を上げて
蓋を被せまいと、遺体に抱きついた。
真っ先にレッドが飛び出て落ち着け!と言っても聞かない。ホワイト父や、ブルー父が体を掴んでも収まらない。
髪を振り乱して泣き叫ぶホワイト。すごい力のようで、レッドが俺の名を呼んで、加勢しろという。
俺は立ち上がってホワイトの肩を持って、ゆっくりと話しかけた。
「しろちゃん、辛いね。全部は無理でも、俺も少しは分かるよ。ブルーはさ、もう、しろちゃんの目の見える場所にはいないけど
ずっと、しろちゃんや、俺たちのこと見ててくれると思うんだ。辛いけど、このままだと、ブルーはどこにも行けないからさ。
辛いけど、少しの辛抱だから。送り出してあげよう?」
ホワイト。きょとんとした顔で俺を見たかと思えば、倒れるようにして俺によりかかり、声尾をし殺すようにして泣き出し、
泣きながらも、こくんと頷いて、棺から体をどかした。
レッドでも、ホワイト父でも抑えられなかったホワイトが、俺の言葉に従うことに、たまらない優越感を抱いた俺はクズだと思う。
棺の蓋に釘を打つとき、ものすごく楽しかった。
帰り道、レッドと二人で帰っていると、ぽつりとレッドが言った。
「お前、あの時笑ってただろ」
顔を上げてレッドを見ても、レッドは顔を正面に向けたままだった。
「ブルーが死んでほっとしたか?」
自分でも気づかなかった所を突かれて、俺は頭を殴られたようだった。
連絡を聞いて即効帰ってきたのは、ホワイトが心配だったからじゃない。本当にブルーが死んだのか確認したかったからだ。
俺か何も言わずにいると、レッドがこっちを見た。可哀想なものを見るような目だった。
これから、ホワイトが誰かを好きになったら、俺はそいつを憎んで、そいつの不幸を喜ぶんだろうな。
ブルーの葬式中だって、どのタイミングでホワイトに告白するのがベストだろう。49日明けてからかな、一周忌過ぎてかな、なんて考えてた。
告白する根性ないくせに。
昔は、普通にホワイトを好きになって、彼氏っぽいことしてみないな、とか、ホワイトが嬉しそうにしてるだけで幸せだったのに。
なんでこんなクズになっちまったんだろう。元々クズだったのかな。
ブルーの妹と結婚することが決まったので吐き出させてもらった。長くなってすまない
こうして書いてみると、一番修羅場なのはレッドか
ちゃんと恋愛はできたのかい?
ブルーの親父さんに頼まれた。レッドは既婚だしな。
ピンクも俺がいいらしい。
>>472
ピンクに愛情注いでやれよ。
自分自身が壊れてるからとか自棄にならないでな。ピンクとは「縁」が有ったんだから!
自分と新しい家族を大事にな!!!
最後のオチはまあ良かったかな。
グレーだな。
そんなもんでしょ