武勇伝と言うにはちょっとショボイんだけど俺の高校の頃の話
思い出だから色々誇張してたり間違ってたりするかも
平々凡々な地元公立高校に通ってた当時の俺と友達は、駅前のゲーセンにあるカードゲームにはまってた
交代でやればあんま金もかかんないから楽しく遊んでたんだけど、ある時からゲーセンにあからさまな不良グループが現れるようになった
近くにあるバカ校の奴らで、店から連れだされてカツアゲされたなんて噂も聞くもんだから、そいつらが来たらこっそり逃げてた
ってことで、俺はそのグループの情報を集め始めた
田舎だし俺は生まれも育ちも地元だし、誰か一人ぐらい知り合いがいるんじゃないかと思ってさ
残念ながらそんな不良と付き合いのある友人はいなかったけど、グループの一人でAってヤツが俺と同じ小学校だったってことはわかった
そっからあれこれ教えてもらって、かき集めたAの小学校時代の話を頭に入れておいたんである日、ゲームプレイ中で逃げられなかった俺達は、ついに例の不良達に絡まれた
「なーなー、ちょっとお前ら、どこ校のヤツ?w」
みたいな定番の絡み方だったと思う
声をかけられた直後、かなりテンパりながらも、俺は適当に不良連中の方を向きながら、
「あれ? Aっち? Aっちだよな?」
って声をかけた
そしたら一人が
「は? 誰だよお前」
って睨んできたから、こいつがAだ! と判断
「あれ、覚えてねえの? 俺だよ、俺! 〇〇小で一緒だった俺だよ!」(確かに同じ小学校)
「は? いや知らんし」
「うっそ! 朝休み一緒にサッカーしてたろ! 俺だって!」(Aは毎朝校庭でサッカーしてたらしい 小学生の遊びだから面子は適当)
「あー……」
「すっげえ気合入れて基地作ったじゃん! 俺もいたろ!」(Aは超本気で秘密基地作りに熱中してたらしい)
「いや……」
って感じで俺自身の名前を何度も言いながらガンガン畳み掛けた
俺の勢いにAが『あれ? こんなヤツいたっけ?』と困惑してきた辺りで
周りの不良が「何々、Aのダチかよ?w」って絡んできたから、ここぞとばかりに
「Aは小学校の頃、理不尽な先生をぶん殴って俺達のヒーローになった」(先生を殴ったのは本当)
「Aはそれから俺らのリーダーだった」(嘘)
「Aは当時からマジ格好良かった」(嘘)
と褒めまくり
Aが「んな良いもんじゃねえってw」とか照れだした所で、友達に「そろそろ帰ろうぜ」と割って入ってもらって
「じゃあまたなAっち!」「おう、じゃあな『俺』!」ってまるで幼なじみみたいに別れた
その後はしっかり不良グループの顔を覚えて、会うたびに「うっす!」って軽く挨拶を交わすようにした
バカ高校に通う立派な不良としてはしっかり挨拶してくるダチのダチに絡むような筋の通らないことは出来ないらしく
以降俺達は安心してそのゲーセンで遊べた
しかしその後もカツアゲ被害は聞いてて、俺達は勇気を出して一計を案じた
次に不良達と会った時に「暇なら一緒にプリクラ撮らない?」(当時流行ってた)と誘ったのだ
その頃には顔馴染みだった連中はすぐ乗ってきて、オタクと不良の入り混じったカオスなプリクラが完成
そのまま適当なレースゲームで遊んだり、クレーンゲームが得意な奴が商品を取って配ったりして、一時間ぐらいだけど一緒に遊んだ
で皆で「勝手に怖がってたけど良い人ばっかりだった」「遊んでみたら面白かった」
「そこらのダサい不良とは違う」「Aっちは昔から弱いものいじめとか絶対しなかった」と絶賛して帰宅
その後もクラスメイトをゲーセンに連れて行って「筋の通った格好良い不良」と紹介したりで
とにかくこいつらは弱いものに手を出さない格好良い不良なんだってことにして褒めまくった
以降は特に何もしてないんだけど、その不良グループのカツアゲだの暴力だのの被害は勝手に減少
それどころか同じバカ校内のイジメを止めたりする本物の正義の不良と化し、ゲーセンは平和になった
バカ校内では悪の不良と正義の不良()の抗争なんかもあって荒れたらしいが
Aは高校卒業後は警察学校に入って、脱落しそうになる同期を励まし助けて全員で乗り越え、今は将来有望な警官として働いてる
子供が生まれたぜって羨ましいドヤ顔年賀メールが来たからカキコした
>>356
かっこよすぎるわw
ええ話や
知将だな
不良たちも承認欲求に飢えていたのかもね
目から水が出てきたんだけど…
>>355
よっ!天才!
>>356
今でも付き合いが続いているのが凄い
>>356
なんという南風
gj
>>359
何故にみゆきなん?
タッチだろ
北風と太陽がごっちゃになったんじゃ
あ、「北風と太陽」だっけか
ごめん純粋に間違えてた
>>356
当然もう警官はお前さんの一計のことは知ってんだよな?
>>370
知っててほしいよね。
今更言えとは言わないけど。
A「何だよ、そうだったのかー」で笑い話になってるのが一番良いな。
武勇伝としては『DQNを更生させたった』って部分だけだから色々省いてたんだが、気分悪くさせたら申し訳ないから補足すると
Aとグループが正義モードに入ってから卒業するまでの間に色々とみそぎの時期があった
カツアゲ被害者とか暴力の被害者とかを探して謝罪返金したり、その為に集団でバイトしたりとか
その時に俺も本当のことを言ったんだが、どれだけ必死に説明してもAは
「要するにダチのダチだったんだろ?」
「でも今はもうダチだろ?」
しか言わなかったから最終的に諦めた
ただ酒が飲める歳になってからぽつぽつと
「俺も裏で悪いことばっかやってたのにお前にちゃんと言えなかった、お互い様だ」
「今でも俺が許されたとは思ってない」
とか言ってたから、あいつも色々思うところはあるんだと思う
生活安全課目指してるって言ってたし
そもそも格好良い不良扱いを始めたのも、何度も同じゲーセンで会って話すもんだから俺達の方でも親近感が湧いちゃって
あいつらにそういうことやって欲しくないっていうので始めたのもあったけど、武勇伝っぽくなくなるから省略したとか
当時は掛け値なしのDQNだったからあんまり庇うのもスレ的に違うかと思って飛ばしたとかがあって
その辺はふんわりと察してもらえると嬉しい
>>375
その後談も聞けてよりスッキリ。乙。
>>355
新手のオレオレ詐欺
でもいい詐欺だw
>>375
最後まで良い話で良かったよ。
>>「でも今はもうダチだろ?」
しか言わなかったから最終的に諦めた
ウケた(笑)
高卒で警察学校入れるのは頭いいぞ。
それなりの学校でイキってたのかな。
本当の底辺なら記念受験だけで終わる。
最後の年賀状のせいで急に全部嘘っぽくなるよな
めちゃくちゃイイ話だった。救われたいと願ってたんだろな、やつらも。