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最新ヘッドライン!




『タヒね!タヒね!』と呪いを吐き続けていたら、大嫌いなやつが本当にタヒんだ。もはや呪いすぎて、恨んでいた理由も忘れてしまった。

1以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:40:07.52 ID:dJT1qoTPv
死ね、死ね、と呪いを吐き続けて幾十許の時間が経ったろう、ついに奴は死んだ。
もはやどうして奴を恨んでいたのかも忘れてしまった。
しかし、僕は確かに奴のことを恨んでいたのだ。
だから、その報を聞くなり、僕は快哉を叫んだ。
ついに僕は真理とか常識とかいうやつの胸元に風穴をあけてやったのだと。
常識。モラル。どいつもこいつも糞くらえ。
しかしそうこうしているうちに僕も死んでしまった。
滑って転んで死んでしまった。
なんとも間抜けな話ではないか。
朝、出かけるときに、母からあれだけ滑らないように気をつけろと言われていたのに。

 







【激闘】ナイフを持って大暴れする池沼が、甥姪に襲い掛かろうとしていた。頭が真っ白になった私は、負傷しながら池沼に拳を叩き込み…

【総スカン】新人に『絶対やるなよ!』と飲み会での禁止ルールを教えたんだが、それを振りと捉えて実行しやがった。その結果…

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【逆襲】憎悪に満ちた顔と、頭から熱いコーヒーをかけられた事はタヒんでも忘れない。長年の友人を弁護士を立てて訴えたのだが、実は…

【冤罪】呼び出しを食らい実家へ行くと、怒ってる兄、泣いてる兄嫁、般若顔の両親&兄嫁親が…そして身に覚えのない疑いをかけられ…

2以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:44:02.48 ID:dJT1qoTPv
気がつくと僕は自分の死体のとなりに浮かんでいた。
まるで「変形の記録」みたいじゃあないか、なんて思っていると、ふわふわと空へ吸い込まれそうになった。
慌てて自分の死体にしがみついて難を逃れたのだけど、これからどうしてよいものかわからない。
しばらく呆然と座り込んでいた。

 

3以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:45:09.74 ID:dJT1qoTPv
「もし。」
どれほどの時間が経ったのかわからないが、顔を上げると、目の前に少女が立っていた。
少女は美しい少女だった。
長い黒髪に、ゆらゆらと波打った、如何にも現代ふうの白い服。
上下とも白くて肌まで白い。
まるで雪の妖精みたいだ、なんて言うと、少女は如何にもその通りでございと答えた。
「一寸ばかりついてきてくださいな。」
その不思議な風貌の少女にはなんとなく有無をいわさぬ威厳のようなものが漂っていて、だから、僕は少女がそう言うことにおとなしく従った。

 

4以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:46:02.13 ID:dJT1qoTPv
少女の後ろについて僕は歩いていく。
不思議なことに、少女についていく限り僕は空へ浮き上がっていくことがなかったし、浮き上がらないだろうということもわかっていた。
さらに不思議なことに、周りにあれだけわらわらとあった人混みもいつの間にかなくなっていて、とても歩きやすかった。
時計がないので今がいつなのかはさっぱり忘れてしまった。

 

5以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:47:04.84 ID:dJT1qoTPv
雪道に足跡をつけずに歩いていくのがこんなにも心地よいものだとは、僕はついぞ知らなかった。
そうやって2人きりで歩いているうちに気分が高揚してきたので、その旨を少女につたえると、しかし少女はなにも答えなかった。
不満に思ってなおも話しかけてみるが、やはり少女は答えない。
3度目に話しかけるとやっと答えた。
「まったく煩い人ですね。少し黙っていられないのですか。死人に口無しと申しましょう。死人は喋らないのが理というものです。」
それを聞くと、僕はまったくその通りだと思って、それからは黙って少女のあとをついていった。

 

6以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:48:55.41 ID:dJT1qoTPv
10分ほども歩くと(この10分というのは僕の生前の感覚で測ったものであり、正確であるかどうかは保証し得ない。
なにしろ「死んだ娘がうたった……」などから推測するなら、死人の感覚というのは生きた現実の世界とはまったくずれたものになるのだろうから、あてになるのかはわからない。
しかし安部公房とて、あれは生前に書いたものだから、それだってあてになるのかはわからない。
周りに歩いていく人も見当たらないし、時計も見当たらない。
とにかく僕の感覚で10分だったのであって、実際のところがどうだったのかは僕の知る由もない)、
広い公園のようなところに出た。
一面真っ白い雪に覆われていて、まるで雪のプールを見ているようだった。
雪のプール。寒そうだ。あまりぞっとしないが、見ている分にはまったく美しかった。

 

7以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:50:17.40 ID:dJT1qoTPv
「もし。到着しましたよ。あとはあなたで好きにしてください。」
いつの間にかとなり並んでいた少女が言う。
言うなり少女はそのまま立ち去ろうとする。
僕は慌ててその背中に追い縋って聞く。
「待て。待て。待ってくれ。一体ここはどこなんだ。好きにしろって一体なにをどうしろと言う。」
「それを私に聞かれたって困ってしまいます。どこだっていいじゃあありませんか。どうしたっていいじゃあありませんか。そんなの私の知ったことではありません。」
「いや。いや。そんなことはないだろう。ここに連れてきたのは君じゃあないか。だったらなにか理由があるのだろう。」
「理由なんてありゃしません。それを見つけるのは私の管轄外でございます。ここへあなたを連れてくるのが私の仕事なのです。他は知ったことじゃあありません。仕事というのはたとえそれ自体が無意味であろうとも、ただこなすことに意味があるのです。」
「ならこの公園には意味がないのかい。僕がここに来たのには意味がないのかい。」
「いいえ。ここは公園ではありません。いいえ。ここに意味があるかないかを判断するのは私の領分ではありません。」
少女はそう言うとふっと雪に帰るように消えてしまった。
それはあまりに自然で唐突だったから、僕は言葉の接ぎ穂もなくしてそのままに、ただ呆然と立ち尽くした。
目の前には一面に雪が広がっていた。

 

8以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:50:58.58 ID:dJT1qoTPv
僕は取り敢えずそこを歩き回ってみることにした。
意味を見つけるのは僕の仕事らしい。
だったらここになにかあるかもしれない、と、歩き回るのも僕の仕事であるはずだ。
探し物など犬畜生にも出来ること、僕にできない筈がない。

 

9以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:52:18.28 ID:dJT1qoTPv
10分ほど、歩き回ると、しかしそれにも飽きてしまった。
何も見つからぬ、足あともつかぬ、では僕が歩きまわることが全くの無意味に思えてきたのだ。
それにこうして何もない真っ白というのは精神に疲れる。
僕は心に重い鉛をぶら下げて、真っ白の真ん中で立ち尽くした。
立ち尽くしていればいつの間にか棒やら繭になっていたりしないものかと、あるいは救急車なり付け髭の爺さんなりがやってきて僕を拾っていってくれないものかと期待してもみたが、それは全く無駄なようだった。
僕は諦めて座り込んだ。

 

10以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:53:33.60 ID:dJT1qoTPv
すると、座り込んだ尻の下に何か違和感を感じた。
なにか硬いものがつんつんと僕の尻をつついている。
尻を上げて確かめてみると、そこには、雪の下に埋もれた菓子折りの箱の角が覗いていた。
僕はそれを掘り返してみた。
それはバナナ味の八ツ橋の箱だった。
八ツ橋といっても生八つ橋、こんな外に放り出しておけば傷んでしまうに違いがない。
しかし雪の下に埋まっていたのだし、そうそう傷んでしまうこともないのだろうか。
僕はそんなことを思いながら角のへっこんでしまった八ツ橋の箱をまじまじと眺めた。
そうしているとやがて僕はその八ツ橋の箱になにか見覚えのあるのに気がついた。
待てよ。僕は確かにこの八ツ橋をみたことがある。ああ。そうとも。間違いない。僕はこの八ツ橋の箱をみたことがある。
八ツ橋といえば、そうとも京都に違いない。京都といえば、そうとも修学旅行に違いがない。
そうだ、これは、僕がお腹を壊してしまって修学旅行に行けなかったときに、友人が買ってきてくれたものだった。

 

11以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:54:15.17 ID:dJT1qoTPv
箱をそっと開けてみると、その箱はまるで初めからなかったかのようにふっと煙になって消えてしまった。
別に僕は腹が空いていたわけじゃあない。
食おうと思ったわけではないから、消えてしまっても別段何んの問題もなかった。
しかしこれは僕にとって一大発見であった。
この雪の海の下には、他にもきっとなにかが埋まっているに違いない。
そう思って、僕は端から雪を掘り返してみることにした。

 

12以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:58:23.39 ID:dJT1qoTPv
雪を掘り返すと、期待していた通り様々なものが出てきた。
それは使い古されたアルトリコーダーであったり、壊れてボタンの戻らないラジカセであったり、破けてしまったお気に入りの赤いマフラーであったりしたわけだが、それらは全て僕の想い出のなかの品々であった。
ひとつひとつ掘り出すごとに、僕の記憶の表層を、それに纏わる想い出の欠片がすっとなぞっていった。

 

13以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)00:59:28.74 ID:dJT1qoTPv
もう他に掘り返すところがなくなってしまうまで掘り返して、端まできて、最後にそこを掘り返すと、白い一通の手紙が出てきた。
雪の下に埋もれていたが湿ったりはしていない。
裏返してみると、宛名は僕の名前になっていた。
しかし、何故だろう、この手紙にはさっぱり見覚えがなかった。
封がしてあったので開けるのに僅か躊躇したが、しかしこれとて僕のものである、宛名が僕なのだから開けて悪い道理はない。
僕は手紙を取り出してみた。
だがそこに入っていたのは真っ白な紙が3枚、罫線もないただの白紙であった。

 

14以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:02:10.41 ID:dJT1qoTPv
不思議に思って眺めていると、背後から声をかけられた。
「ははあん。全部掘り返してみたってわけかい。」
驚いて振り向くと、そこには例の少女が立っていた。
僕は先ほど置いて行かれたことで彼女に対していくらかの憤りを抱いていたものだから、少しばかり不機嫌を露わにしながら訊いた。
「やい。先刻の少女ではないか。一体僕を、こんなところに放り出しておいて、何がしたいって言うんだい。」
すると少女はきょとんとした顔になる。
「先刻……。はて。一体何のことを言っているんだい。」
「とぼけるんじゃあない。先刻、僕をこの公園まで連れてきて、その後ふっと消えてしまったじゃあないか。」
僕がそう言うと、少女は、不思議そうに歪めた眉の間を一時に緩めて、それから極めて愉快そうな表情になった。
「ほう。ほう。そうかい。言っておいてやるがね、それは全く勘違いというものだ。現にほら、さっきと口調が全く違うじゃあないか。先刻のとオレとは別人なのさ。」
「口調……。そんなものがあてになるものか。そんなことで誤魔化そうといったって、そうはいくものか。」
「誤魔化すだって。これだから人間というやつは嫌なんだ。いいかい。例えば、見た目のきっかりカレエライスな犬の糞があったとして、全くだよ、全く見分けのつかないんだ、それがあったとして、君はそれを食べたいと思うかい。」
「なんだって。」
「犬の糞だよ、犬の糞。君は食うのかい。」
「なにを馬鹿げたことを言うんだ。食うわけがないだろう。」
「そうとも食わないさ。食うわけがない。つまりそれと同じさ。」

 

15以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:03:18.74 ID:dJT1qoTPv
僕には少女がなにを言っているのかまるでわからなかったが、しかし少女が言うと本当にその通りであるような気がしてきたので、僕は黙ったまま曖昧に頷いた。
「さあ。案内するよ。ついて来な。」
少女は踵を返して出口の門の方へ歩き出す。
他にしようがないから、僕は大人しくそれについて行くことにした。

 

16以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:04:34.38 ID:dJT1qoTPv
また、10分ほど歩くと、今度は石がごろごろと積み上げられた塀の前に来た。
塀はそれほど高いものではなく、高さは僕の身長ほどだったから、背え伸びをすれば向う側を眺められた。
僕は向うを覗いてみた。
しかし向う側には一面に雪が広がっていただけだった。

 

17以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:05:37.02 ID:dJT1qoTPv
そんなことをしていると、となりに立っていた少女が言う。
「なんだい。君には覗き趣味があったのかい。」
揶揄うような響きのそれに、僕は少しばかりむっとして言い返した。
「そんなわけがあるまい。僕は箱男じゃあない。」
すると少女はじっと僕を見たまま考え込んで、それからふと得心したように、
「安部公房かい。」
と言った。
「そうとも。」
と僕が言うと、
「そんな歳で読むようなものじゃあないね。碌でもない。」
そんなふうに言う。僕は頭にきて、
「安部公房を馬鹿にするのか。」
少し声を荒げて言うと、
「安部公房じゃない、君を馬鹿にしているんだよ。」
と言う。僕は何か言い返してやろうと口を開いてみたけれど、何も言うことが見つけられなくって、口元をもぐもぐして、それからやっぱりまた閉じて、黙ったままでいた。

 

18以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:06:21.53 ID:dJT1qoTPv
「それじゃあオレはこれでさよならだ。あとは好きにするといい。」
少女はそう言うと、僕が振り向いてなにか言う前にふっと消えていた。
僕はまた立ち尽くした。
目の前には塀があって、これを調べるしかなさそうだったから、とりあえずまた端から調べてみることにした。

 

20以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:07:45.61 ID:dJT1qoTPv
僕は目の前の石をこつこつと叩いてみる。
石は硬く、冷たい。
叩いてみた感触からするに、それはただの石だった。
隣の石も叩いてみた。
それもやはりただの石だった。
となり、となりと叩いていくうちに反対側の端まで来た。
向う側に回り込んでまた叩いてみる。
全部隈なく両側から叩いて回ってみたのだが、やはりこれらはただの積まれた石ころであって、それ以外の何者でもないようだった。
僕は石の塀をただじっと見つめた。

 

21以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:08:43.36 ID:dJT1qoTPv
ふと、僕は、石の間にごく小さな隙間の開いているのに気がついた。
それは直径1ミリとないほどのわずかばかりの隙間である。
石の間のコンクリイトにところどころ、ぽつぽつと穴が開いているのである。
僕は塀に近寄って、その穴から向う側を覗いてみた。

 

22以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:10:19.37 ID:dJT1qoTPv
意外なことに、穴の向うに見えたのは雪景色ではなかった。
それは僕の家の風景であった。
食卓には晩飯が並んでいて、奥のキッチンでは母が忙しそうに家事をしている。
左手に階段が見えることから、僕はきっと玄関のあたりから家の中を眺めていることになるんだろう。
と、その階段から下りてくる人影がひとつある。
そう、それはまさしく「僕」自身であった。
小学生のころの「僕」だった。
「僕」は階段を下り切ると、気だるそうな猫背のまま食卓へ歩いて行き、席に着くと何も言わず食い始めた。
母は一度「僕」のほうをちらと横目で見るが、しかし何も言わずにまた家事の続きにとりかかった。
「僕」はせこせこと飯を食い終わるとまた何も言わずに席を立って、右手で口元を軽く拭うと、また気だるそうな猫背になって階段を上っていった。
母はずっと家事をしていた。

 

23以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:11:13.68 ID:dJT1qoTPv
僕は穴から目を離すと、今度はその隣の穴に目をくっつけて覗き込み始めた。
その穴の向うは中学校の教室だった。
教室の黒板が右手に見えて、正面には南向きの窓が一列にずらりと並んでいる。
カーテンは端に寄せて束ねられていて、窓からは赤い夕暮れの光が斜めに射し込んできている。
その教室の後ろのほうの席に、やはり「僕」がいた。
ひとり教室にのこり、ただ俯いて時間を潰している。
教室には先ほどまで和気藹々と話し込んでいたクラスメートたちの楽しげな空気の残滓があって、それが「僕」を苛んでいたのだ。
―◯◯君ってさ……
―やめなよ。可哀想……
―この間……さんのリコーダーが盗まれたのって、やっぱり……
―いや、きたない……

 

24以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:12:24.82 ID:dJT1qoTPv
僕は穴から目を逸らすと、今度はまたその隣の穴に目をくっつけて覗き込み始めた。
その穴の向うは友人の部屋だった。
正面の隅にはテレビとゲームがあって、反対側には勉強机が据え付けられている。
その上は教科書やプリントの類いで乱雑に散らかっていて、勉強の痕跡などみるべうもない。
その部屋の真ん中辺りに高校生の「僕」と友人が向かい合って座っている。
友人が口を開いた。
ここからでは音が聞こえないから、まるで酸欠の金魚がパクパクと鰓呼吸をしているみたいに見える。
―俺、あいつと付き合うことにしたんだ。
声は聞こえなかったが、僕は彼の一言一句をありありと思い出すことができたし、その状況、話方、すべてありありと思い浮かべられた。
彼の言葉を聞いた「僕」は手元にあったラジカセを力の限り殴りつけた。
殴りつけた「僕」の右手からは血が滴って、ラジカセはただ狂ったように同じフレーズを繰り返していた。

 

25以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:13:25.79 ID:dJT1qoTPv
僕は穴から目を背けると、今度はまたその隣の穴に目をくっつけて覗き込み始めた。
その穴の向うは僕の部屋だった。
部屋の窓には厚手のカーテンが引かれていて、その手前にベッドがある。
大学生になった「僕」はそのベッドの上で俯いたまま呪詛の言葉を並べ立てている。
手元には赤いマフラーと鋏。
「僕」は右手に持った鋏でマフラーを切り刻んでいた。
ベッドのすぐそばの床の上には一枚の葉書が落ちている。
葉書の内容は結婚の報告だった。
差出人はかつての友人だった。
マフラーは13の誕生日のときに友人から貰ったものだった。

 

26以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:14:18.01 ID:dJT1qoTPv
僕はとうとう目を伏せて、穴を覗き込むのをやめた。
しばらく蹲って、立てた膝の間に頭を突っ込んだままじっとしていた。
そうしてしんしんと降り積もる雪の冷たさに耐えていたのだが、ふと、隣に少女が立っている気がして、横目で伺うと、思った通り少女が立っていた。

 

27以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:15:46.47 ID:dJT1qoTPv
少女は僕の気付いたのに気付いたようで、僕が目を向けると肩を竦めて言う。
「途中でやめてしまったのですか。」
話方からみるかぎり、この少女はどうやら先ほどのやつではなく最初のやつらしい。
僕はふと気になって、
「君。ねえ、君。君は安部公房を知っているかい。」
と訊いてみた。
すると少女は腕を組みながら少し考え込んで、ああ、と思い出したように顔を上げ、それから得意げに言う。
「ああ、あれ、知っていますよ。男がビルから落ちて死んだり、靴箱に押し込まれて死んだり、黒板に吸い込まれて死んだりするやつでしょう。」
僕はその言い方が頭にきて、
「違う。そんな話じゃあない。」
と噛み付くように言う。
すると少女はこんなことを言う。
「一体何が違うと仰るのです。まったくそのまんまじゃあありませんか。どいつとこいつも等しくおっ死んで、結局あとには煙も残らんのですよ。」

 

28以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:19:09.06 ID:dJT1qoTPv
「違うんだ。僕が言いたいのはそんなことじゃあないんだ。僕が言いたいのはね、つまりだ、ほら、僕の今の状況というやつがね、まるでその小説の中のね……」
僕がそう切実に訴えると、少女は突然けたけたと笑い出した。
「ええ。ええ。やっとあなたが何を言いたいのかわかりました。
あなたは自分を安部公房に投射しているわけなのですね。ああ、なんと馬鹿馬鹿しい話でございましょう。」
けたけたけたけたと愉快そうに笑いながら少女は言うが、聞いているこちらは不愉快極まりない。
苛立ちながら僕は訊く。
「一体何が馬鹿馬鹿しいって言うんだい。」
すると少女はやはり愉快そうにしながらすらすらと言う。
「だってほら、馬鹿馬鹿しいではございませんか。だってあなたは凡百の霊魂に過ぎないのです。
雪で滑って、転んで、おっ死んでしまうような、何んにも成し得ぬ愚図の木偶の坊でございます。
それが死んで虚構に還るなど、馬鹿馬鹿しいにも程があるというものでございます。」
僕には彼女が何を言っているのかよくわからなかったから、耳についたところをそのまま聞き返した。
「どうして虚構に還るのが馬鹿馬鹿しいって言うんだい。」
「いいですか。虚構というのは崇高にして普遍であります。対してあなたは如何です。
どこまでも地に足がついたただの人呉れ、その成れの果てに過ぎないのです。
それが虚構に昇華しようなど、まったくわりなきこと。」
少女はそう答え、僕が何か言うより先に、少女は背を向けて歩き出した。

 

29以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:20:33.32 ID:dJT1qoTPv
「どこへ行くんだい。」
僕が問うと、
「次で最後です。」
と言って、少女は後ろを向いたまま手招きをして見せた。
僕はなんだか納得がいかなかったが、やはり他にどうしようもなかったからまたおとなしくついていった。

 

30以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:21:50.43 ID:dJT1qoTPv
最後に僕が来たのはただの交差点だった。
周りにはビルがあって、少し見通しが悪いがただそれだけの、何処にでもありそうな交差点だった。
ふたつばかり不自然なところを挙げるとすれば、その交差点には人影ひとつなく妙に閑散としているところと、信号が青のままいつまで経っても変わらないというところか。
他はやはり見慣れた交差点となんら変わらなかった。
今度は僕に何をさせようというのか、そう聞いてやろうと思って振り向くと、またしても少女は消えていた。
また謎探しでもしていろというのか。
仕方がないから、取り敢えず手当たり次第に探し回ってみることにした。

 

31以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:23:27.83 ID:dJT1qoTPv
とりあえずはやはりただ歩き回ってみた。
横断歩道を縦横無尽に歩いた。
そうして得られたのは精神的な疲労感となんとも言えぬ虚しさだけだった。
次にビルに這入ってみた。
ビルは3,4階の高さがあって、中を隅々まで見て回るのはなかなかに骨の折れる仕事だったが、僕は時間も体力も気にする必要がなかったから、そういった実際的な問題はなかった。
時間は確かにかかったが、結局近くのビルは全部見て回った。
しかし何もなかった。
それから交差点の真ん中で寝転んだり車道をうろうろしてみたり、どこか見覚えはないかと張り紙を事細かく注視してみたりしたのだが、一向なにかを見つけられる気配がない。
僕はなんだか面倒になって座り込んだ。

 

32以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:26:33.92 ID:dJT1qoTPv
ぱさりと何かが落ちる音がした。
音のしたほうに目を向けてみると、落ちたのは例の真っ白な手紙であった。
僕のポケットに入っていたらしい。
僕はそれを手にとってみた。
すると驚くことに、いつの間にか差出人の名前が書かれている。
それは僕の友人の名前だった。僕は慌てて中身を確かめた。
そこにはやはり3枚の便箋が入っていて、しかし先ほどと違ってそこには確かに文が綴られていたのである。
それも3枚とも端から詰めてびっしりと、細かい文字で。
僕は半ば恐怖に駆られながらも、その手紙を震える手で握りしめながら、食い入るように読んだ。

 

33以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:27:15.62 ID:dJT1qoTPv
そこに綴られていたのは懺悔であった。
声にならぬ叫びであった。
それは、あの日友人の部屋で友人の告白を聞いてから、あるいは大学に入って友人の最後通告を受け取ってから、ずっと彼を呪い続けてきた僕に対し、贖宥を求める切なる声だった。

 

34以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:27:49.19 ID:dJT1qoTPv
僕はそれに最後まで目を通すことができなかった。
直視できなかったのだ。
僕の手から手紙がひらひらと滑り落ちていった。
僕はふらふらと立ち上がった。

 

35以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:28:48.33 ID:dJT1qoTPv
顔を上げると、交差点の真ん中に大破した一台の赤い軽自動車があるのに気がついた。
僕は恐る恐るそれに近づいた。
その車が何なのか、僕にはもうなんとなくわかっていたが、確かめずにはいられなかったのだ。
ぷすぷすと黒煙の上がっている生々しい事故の現場に足を踏み入れると、血なまぐさい臭いがした。
それは紛れもなく人の死の臭いだった。
前半分がグチャグチャになったその車はもはや機械としての役割を果たし得ぬ、ただのスクラップと化している。
僕は砕けたフロントガラスから中を覗き込んだ。
そこにいたのは、やはり、僕のかつての友人だった。
彼は熟れて腐ってしまったトマトのように水っぽく型崩れしてしまっていた。
僕は背を向けて吐いた。
水っぽいゲロがでた。

 

36以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:30:10.65 ID:dJT1qoTPv
「つまりね、君が現実に見ていたものなんて、結局そんな程度のものなのさ。」
顔を上げると、となりにまた少女が立っていた。僕はまた吐き気がぶり返して吐いた。
「きれいなものなんてありゃしない。きれいなものはきたなくて、きたないものは実際ゲロがでるほどきたないのさ。」
少女はのべつまくなしまくし立てる。僕はげんなりした気分のまま無理にでも言い返す。
「嘘だ。そんなことはない。だって……。」
しかし、僕が言い終わるよりも先に少女が言う。
「いいや、実際すべてまやかしなのさ。君がかつて夢見ていた友情なんてのはやはり幻想で、君が呪って彼が死んだ、そのことだけが事実さ。」
「そんな……そんなのは嘘だ。」
「嘘じゃない。現実を見ろよ。ほら、そこでスクラップになっているのが君のかつての友人だ。ほら、感動のご対面だよ。喜べよ。喜べないよな。
そうとも君は彼を呪い続けた。君と彼の間にもし友情なんてものがあったとして、それをどうやって証明する。それに何んの意味がある。」
「……それは」
「ないのさ。意味なんてないんだ。」

 

37以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:32:31.86 ID:dJT1qoTPv
僕はまた吐いて、彼女から目を背けた。
次に顔を上げると、そこはもう交差点ではなかった。
一面真っ白の銀世界、そこは公園でも塀のある道路脇でも交差点でもなくって、ただただ真っ白の世界が連綿と続く、何もない平坦な世界だった。
僕の正面には少女が立っていた。
彼女は僕のほうを向いている。
この世界では遠近感を感じ取れる存在が彼女の他にないから、彼女だけが唯一、僕の視界の現実味を司る支配者となっていた。
僕は彼女に訊いた。
「僕は、これからどうなるんだ。」
少女は肩を竦めて答える。
「どうにもなりゃしないさ。それが対価ですから」
「対価……。」
「そうです。対価だよ。あなたは彼を呪ったのでしょう。その対価さ。」
「だから僕はここに捨て置かれるっていうのか。」
「そうですよ。目には目を、歯には歯をってね。魂には魂ですよ。古きバビロニア時代からある常識だろう。そんな常識もない人が常識に風穴をあけるだなんて……。それこそ糞っくらえってやつさ。
本当に馬鹿でございます。てめえを救う神はねえよ。あなたはひとり世に倦んで腐って死んでいくのです。」
少女はそうやって次々に並べ立てると、言い終わったところでまたすうっと雪になって消えてしまった。
あとには僕ひとりが残された。

 

38以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:35:31.36 ID:dJT1qoTPv
僕は周囲を見渡して、本当に何もないのを確かめるとふと不安な気持ちになった。
あの少女のことだ、また気がつけばふっと出てくるんじゃないか、という気もしたが、なんとなく少女はもう二度と出てこない確信があった。
周りには一面の銀世界。
僕はひとりグレイに染まった曇り空を見上げた。
そして、自分がすうっと雪になって溶けてしまうことを願っていた。

 

39以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:43:28.42 ID:dJT1qoTPv
以上です。
もし読んでくださった方がいたらここにお礼申し上げます。
長々と読んでくださってありがとうございました。
試験対策でノイローゼになりそうです。

 

40以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)01:58:10.55 ID:???
人を呪わば穴二つ…

受験生?ガンバってね

 

43以下、VIPがお送りします2014/12/25(木)17:49:38.09 ID:v+y2f2h4z
まぁ面白かった

 

44以下、VIPがお送りします2014/12/27(土)14:00:39.80 ID:???
最初はえぇぇぇ~?っと思ってたけど
すぐに惹きこまれて最後まで読んでしまった
面白かったよ~またお願いね

 

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どうも、日本人難民管理人のナオコ(男)です!
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コメント

  1. 名無しさん211426

    初っ端からいかにもなワナビ臭すごすぎて5行目で読むのやめたのですが
    最後まで読んだ方は、読む価値あったか教えてください

  2. 名無しさん211430

    出てくる単語が古いし、言い回しも古いものが使われているから、外人には読めないだろな。
    無理に読まずともよい。どうせこんな静謐と激情の癒合など、日本人にしか判らぬ。

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