その日は、いつものように家で遊んでいると
スーパーに道中靴紐が緩くなっていたため電柱の隣に座って靴紐を結び直し始めたんだ
その時に一人の友達が電柱に蹴り始めた
友達1「靴紐まだ~?」
そう言いつつも電柱への蹴りは止まることなく続いていた
おれ「あともう少しで終わるよ」
そう言うと
弟「早くしてよー」
友達2「長いよー」
友達に急かされたためおれは焦って靴紐を結ぼうとして余計に上手くいかなかった
そう言って立ち上がったおれの目の前を電柱が過ぎ去った
マンションがヤバイ、そう思ったおれは弟に
おれ「電柱を止めろ!!」
我ながら無茶な命令だったと思ったがマンションのことがなにより心配だったおれはそう言っていた
友達2
後のK1ファイター武蔵と魔裟斗である
倒れる角度がまだ浅かったためかそのまま電柱は押し返され
そして、爆音と共に駐車されていた軽自動車に直撃して車は見る影もないほど大破していた
おれはいまでも鮮明に覚えている車のフロントガラスはひびこそはいっていたものの割れることなく車内を守っていたのである
しかし、おれの心は清々しい気持ちでいっぱいだった
このマンションはおれが守ったんだ、そう思っていた
友達1「やべーよ、おれよ蹴りやべーよ」
おれ「おまえの蹴りのせいで本当に危なかった、でもなんとかマンションは守ったな」
おれと友達1は互いに笑いあっていた
その冷静な弟の言葉におれと友達1は現実に引き戻された
おれ「……」
友達1「……」
ちなみにこのとき友達2は隣で泣いていた
おれ「とりあえずおばちゃんに知らせに行こう」
おばちゃんとはスーパーで中の良かった店員のことね
スーパーの駐車場内で起こったことをおばちゃんに話した
おばちゃん「なに言ってるのよ、いま仕事中だからあとでね」
おれ「ちょっと来てよ」
そう言って強引に大破した車の見える位置まで引っ張っていった
おばちゃん「ちょっともう本当におこ……」
おばちゃん「逃げなさい、いますぐに」
おばちゃんはそう言った、たぶんだいぶ焦っていたのだろう
いつもとは明らかに雰囲気が違った
とりあえず300mほど離れた公園に行ったもののやはりあまりの出来事に遊ぶ気になれず家に帰った
おれ「ただいま~」
母「遅かったね、……あれジュースとお菓子買ってこなかったの?」
あったことを洗いざらい話した
母「なに言ってるの?」
やはりおばちゃん同様に信じてはもらえずベランダに行ってその光景を見せた
母「……」
母「あの~、実はこの子たちが電柱倒してしまったらしく……」
店長さんにそのことを話しおえるとすぐに店内に車の持ち主を見つけるためのアナウンスが流された
女子大生「あの~なにかあったんですか?」
事情を説明すると驚いてはいたがおれたちに
「あらら~、大変だったね」
と笑いかけてくれた
母「このあとは大人たちだけで話すから帰りなさい」
言われた通りにおれたちは家に帰った、友達2が相変わらず涙目のままだったが気にせずに遊んだ
そして、母が帰ってきた
母「電柱の根元が腐ってたんだって」
おれ「えっ?どういうこと?」
実は電柱の根元が雨水などで腐り切っていたらしい、そのことにスーパー側が気づかずに放置されていたところに友達1の蹴りがとどめを刺したということらしい
そのあとは友達の親にあったことを連絡し各自帰宅
翌日、休みをあけて学校に行くと
いつのまにかその情報が広まっていたらしい
数日の間、帰り道などでおれたちが電柱の近くを通ると笑われて続けた
fin
倒れはじめてすぐに押し返したからじゃないかな?
確かにあの時の弟はすごかったけど