高校生のときの私はハッキリ言って可愛かった。正直かなりの美少女だった。
それで、私ほどじゃあないけど可愛い子と何人かとつるんで、私を中心にしたみたいなグループが出来ていて、それなりに楽しく過ごしていた。
あるとき、名前も覚えてないようなクラスメイトが隣の席になった。
ところがその子、授業始まっても教科書もノートも出さないの。
教科書はどうしたのか尋ねると、「ない」って返ってきた。
ノートは? 筆箱は?
全部無いそうだ。
「何しに学校に来てるのー?」って言った記憶がある。勿論笑いながら冗談混じりに、って自分では思っていたのだけれど。
その日は教科書を見せてあげて、ルーズリーフとペンを貸してあげた。
ホントに名前も知らないクラスメイトだったから私は知らなかったんだけど、後から聞いたところによると、その子は別グループにいじめられていたそうで。
教科書もノートも筆箱も全部捨てられたんだとわかった。
ぼーっと見てると、確かにその子はいじめられている。
目の前で悪口を言われ、私物は取られるし汚いもの扱いみたいな事も言われていたな。
私はそんなアホの動物園を横目で見ながら、ガキじゃあるまいし、寒いんだよと思っていた。
なんかその様子がむかついたから、逆に私はその子と仲良くなってやろうとか思ったんだよね。この頃から逆張りおばさんだったのかもしれない。
正義感とかあったわけじゃあないけど、変な使命感には燃えていた。私はなんか意地になって、無理矢理その子と話をするようになった。
そのうち私の友達もいれたりして極力一緒にいて、いじめっ子共を牽制してなるべく手を出せない状況を作ったね。
暫く続けているといじめも止み、その子も私らを友達と思うようになった。と私は勝手に思っている。
そんなこんなでその子は卒業まで無事に過ごす事ができた。けれど、その子は卒業したら上京して、私との縁も余裕で切れて、もう会う事も殆どなかったんだけど。
私は卒業後、地元のショボイ私立に入ってショボイ生活をしながらショボイ工場に就職した。
三十路も手前にして結婚の予定は影も形も全く無く、
ショボイ給料でだらだら毎日を生き凌いでいる感じだった。
ある日、その子から電話がかかってきて、久しぶりに地元に帰るから二人で遊びたいと言われた。
私は迷った。只でさえ高校の同級生に今のショボイ私を見られるのは嫌なのに、二人でとは。
しかし向こうも何やら真剣そうな様子だ。何か悩みでもあるのかも知れないと思った私はとりあえず約束する事にした。
久しぶりに会ったその子は、それはもう綺麗になっていたよ。ばい菌扱いされていたあの頃はどこへやら、小奇麗で品の良さそうなお嬢さんといった様相。
私もその時ばかりは流石に少しだけ飾って行ったけど、途端に自分が恥ずかしくなってきた。
どうやら今は東京さんちの広告代理店で働いているらしい。
よくわからないけれど、とても忙しいがとても充実しているそうで。結婚の予定は未定だけれど素敵な彼はいるらしい。
要するに、今の自分を見せ付けたかったのだろうか。
それほどまでに今の彼女は眩しくて羨ましい。
私が内心で劣等感に打ち震えていると「あの時助けてもらったから頑張れた。今充実しているのは、全部(私)さんのお陰」とか言われた。
なんでも、今の成功と幸せを思い返していると、高校生時代の事がよみがえり、その時私に助けられた事が全てのきっかけだったとは常々から思っていたようだ。
曰く、私に助けられた事で勉強する時間を取り戻せただとか、私と友達になったお陰で人との関わりの大切さ、楽しさを学んだとか、今の仕事に就けたのはそれを教えてくれた私のお陰なのだとか。
本当はずっとお礼を言いたかったらしいけれど、彼女の記憶にある私は世界一可愛い超絶美少女だったから気後れしたそうだ。
そう言われても今の私はハッキリ言ってクソみたいな状況で、あの時みたいに可愛くないし、お金もないし、楽しくもない。
過去に想いを馳せて、あの頃の私は、なんて自分を慰めるしかない私には、今が一番輝いている彼女は妬ましくて仕方が無い。
>>812
たとえ気まぐれだとしても、一人の女の子を救ったのは紛れもない事実
人ひとりの人生をそこまで好転させることなんて、なかなか出来ることではない
嫉妬なんて人間だから当たり前だし、今回のこともいずれいい思い出にしてほしい
これからのあなたの幸せを祈る
>>812
うむ。若い女性へ合う言葉かどうか分からないけど
貴女、いい奴だよ
>>813さんが言ってくれている通り
自分もあなたのこれからの幸福を祈るよ
これ切っ掛けに磨き直せばいいやん。復活の美女になれる。
・・・美女の復活か? どっちでも結果同じかw