もう終わった話な。
他に好きな男が出来たから。
結婚を考えていた俺は落ち込んだ。そりゃもう飛び降りるんじゃないかと周りを心配させるくらいに。
そんな俺に優しい言葉を掛けてくれたのが配属先にいた女の子。高卒の彼女は俺よりも歳下だけど、一応会社では先輩。
凛子はちょっと洒落にならない位可愛かった。石原さとみを更に可愛くした感じ。
それに愛想も良かった。何しろ振られた事を引きずっていた暗さ満点の俺の事をあの手この手で元気付けようとしてくれていたから。
勿論社内ではもてた。もてまくってた。
だけど、俺はそれでも中々元カノの亡霊から立ち直ることが出来ないでいた。
だけと入社して半年経った頃、上司に「最近のお前、表情明るくなったよな。いい笑顔してるよ」と言われ、愕然とした。陰気くせえ、と言われる事はあっても、笑顔がいい、なんて生まれてこの方言われた事が無かったから。
そしてこうも言われた。「凛子に感謝しろよ」
その時初めて彼女の事を一人の女として見ることが出来た。これがすべての始まりだったんだ。
こんなに可愛くて美人の女の子と半径5メートル以内に入ったことが無かった俺は、逆に彼女と喋れなくなってしまった。
そしたら暫くしたら凛子に言われた。「わたし、何か悪いことしたっけ?したんなら謝るから言って欲しい」と。
情けなくて泣きそうになった。こんなに良くしてくれる人になんて態度をしてるんだって。
俺は思い切ってすべてを打ち明けた。
彼女に振られて落ち込んでいた事。
凛子が話し掛けてきても上の空だった事。
立ち直れたのは凛子のお陰だと上司に言われ、初めて凛子の事を考えられるようになった事。
そして凛子があまりに美人過ぎる事に改めて気が付いてどう接して良いか分からなくなった事。
美人は恐い、俺みたいな男とは住む世界が違うので関わらない方が良いと思っていた事を。
「美人なのはよーく知ってる。だけど恐くないよ」
そう言う彼女に俺は惹かれた。
一年経っても相変わらずの凛子。彼氏の影も見当たらない。
元カノと別れたのは凛子に会うためだったのかも、と都合良く考えた俺は、身の程弁えず告白した。
俺はいつも全力だった。
「絶対に幸せにする。結婚前提に付き合ってほしい」と言ってしまったんだ。
呆気にとられる凛子。
だけどすぐに微笑んでくれた。
「こちらこそよろしくお願いします」
腰が抜けそうになった。
この世に生まれたことを感謝した。
元カノに感謝した。
初めて嬉し泣きをした。
俺23歳、凛子20歳から始まった恋愛。
俺は彼女に、何故彼氏が居なかったのか?と空気読めない質問をした事があった。彼女は「だって俺君のことが好きだったから」。俺が入社した頃からの一目惚れだったと聞いて信じられない気持ちで一杯だった。
若い二人はいつも一緒だった。
社内では公認。だからこそ仕事中は逆に接点を出来るだけ取らないように気をつけた。
その反動でアフターファイブはベタベタだった。
近くのミスドで俺の帰りを待つ凛子。
俺が店に入るや否や、周りの目を気にする余裕すら失った彼女はいつも飛びついてきた。
そして手を繋いで俺の部屋。
本当に可愛い彼女、自慢の彼女だったんだ。
間も無く同棲を始め、一年記念でお互いの両親に挨拶に行った。
そして更に1年後、俺たちは結婚した。
俺25歳、凛子22歳の秋に式を挙げたんだ。
人生てなんて素晴らしいんだろうと思った。
俺を産んでくれた親に感謝した。
凛子を産んでくれた義母に感謝した。
出逢いをくれた神様に感謝した。
全てが順調だったんだ・・・・・
早く子供が欲しかった彼女は仕事を辞めて専業に。
同棲時代から殆ど毎日抱き合っていた俺たちは、避妊しないセックスに没頭した。
毎日毎日抱いていたから子供なんてすぐ出来ちゃうね、なんて笑い話しながら事後に子供の名前を考える幸せな毎日。
だけど中々妊娠しなかった。
1年が経とうとしたころ、不妊治療も考えたが費用を聞いて躊躇した。若い俺の収入なんてたかがしれていたからな。
結局、自然に任せようという事になり、彼女は再び働き始めた。
これが間違いだったんだ。
そこで受付嬢として働き始めた凛子。
毎日毎日大勢の来客があるらしく、最初の頃は毎日クタクタに疲れていたようだった。
そして夜の生活も次第に少なくなっていき、働き始めて半年経つ頃には週に一度あるかないかに。
これじゃあいつまでたっても子供なんか出来ないと話し合いをする事はあったけど、その直後は増えるものの、また戻ってしまうという繰り返し。
話し合うも、まだ若いから慌てる必要ないよ、という彼女。
そしてある日、俺の職場の先輩の女性から声を掛けられた。最近凛子とはうまくいってるのかと。
普段殆ど話す事が無かった先輩。凛子が勤めていた頃に凛子繋がりで話したことがある位の仲だった。
凛子に変わっ事はないか?とか、うるさい位に探りを入れてくる彼女にらいらついた。そしてそれが分かったのか、彼女は言いずらそうにこう言った。
「凛子、浮気してるかも」
事実、その日も次の日もその次の日も、暫くは凛子と普通に生活していたし。
この辺の事はあまり詳しく書きたくありません。お察し願います。
二週間後、先輩に相談している自分、そして勧められるまま興信所に依頼。
すくに証拠はいくつも集まった。
その時始めて泣いた。
後悔した、気が緩んで幸せボケしていた俺を。
美人な女は恐い。それを忘れていた。
彼女は鳥籠の中に入れていなければダメなんだと。
野に放つと沢山の獣に襲われてしまうんだということを忘れていたんだ。
逢引している時も指輪をしていたので、凛子が既婚者と分かっていての所業。
冷静に、と言う先輩の声もよく聞こえなかった。耳鳴りが酷かったような気がする。
席を立とうとしても立てなかった。情けないことに腰が抜けていたんだ。
冷静でいるけれども心がなくなってしまった俺は、とてもじゃないが家に帰る気になれずビジホに泊まった。
夜入れた凛子への電話、「分かったよ。じゃあね」の一言だけ。
浮気の事実を聞いた後だからか、これから俺がいない事を良いことに間男と会うのか?とか考えて胸を締め付ける苦しさに戻してしまったりもした。
これでおしまい
尻切れトンボはマジ勘弁。(´・ω・`)
終わり?
まあ正月明けたら逆戻りするから、その時に忘れてなかったら続き書くよ。
でも、まあ胸糞悪い話だぞ。
明日から仕事と考えるとブルーだな。
ちょこちょこ書いてきます。
>>259の続きから。
翌日出社したらすぐに嫁友に呼び止められた。あんた家に帰っていないでしょ?と。顔見てすぐ分かったってさ。
嫁友の顔見た時、何とも言えない複雑な気分になった。安心感の一方で、現実の生々しさが蘇ってくる、みたいな。
でも事情を知っている唯一の人でもあり、彼女には色々と助けられる事になる。
それで日中家に戻って着替えを用意している時、ふと嫁の箪笥の中身を見てみようと思った。
このスレじゃテンプレだけど、見た事もない高そうな下着が沢山出てきたよ。レースを散りばめた豪華なやつとか、 薄い生地で横紐とか。あとは網タイツもあった。これはパッケージに入った新品のが20位も。
大衆食堂で4時間粘った結論は、一カ月仮面を続ける、そしてこの時点で俺自身定まっていなかった夫婦としての今後の身の振り方をこの間に考える事。
仮面なんて自信無かったけど、俺の意思が固まるまでは仕方ないと思い、週に何度か偽出張を散りばめて凌いで行くことにした。
客観的に考えて子供の居ない若い夫婦にしてはドライ過ぎる関係。
やましい事があるのなら、いつも以上に優しくしてくるのが人の性かと思っていたが、嫁に関しては全くなし。何を言ってもハイハイ、心ここにあらずと言うか、上手くあしらっとけ、みたいな。
今思えばそれまで殆ど出張なんてなかったのに、いきなりなのに嫁の反応は「あら、そう」のみ。
そして嫁友のアドバイス通り、不在時に興信所依頼。
さすがにそこまでは、と思ったものの、俺の出張時は100%逢引していた。
ここまで来ると、無念さよりも怒りがふつふつと湧いてきて、我慢の限界へ。
嫁、はっ?という声と共に俺を凝視。その目には汚いものでも見るような蔑みが。
何故見せる必要があるの?と食い下がる嫁に、やましい事がないなら見せれるはず、と俺。すると上から目線が次第に涙目に。そして狼狽え始める。
何か私の事疑ってる?
いいから見せろ
別にいいけど、何考えてるのか言ってよ!
見たいだけだ
こんなやり取りの中で、嫁手にスマホを取る。
あれ?見せれるの?とちょっと意外な俺。
すると嫁が言った。
見せても良いけど、何もなかったらどう責任取ってくれるの?
この一言で俺は切れた。夫婦間で責任とか持ち出して駆け引きしようとしている嫁に。
声を荒げてスマホぶん取ってチエックする俺。嫁、涙目で俺を睨みつける。
LINE、メール等調べたが何も出ず。
既に頬を伝う程泣いている嫁に何も言わずにスマホを返す。
何かあった?
何もない
なんでこんな事するの?!
・・・・・・・
涙が収まって落ち着きを取り戻した頃、改めて尋問開始。もうこの夜に全てをはっきりさせたかったから。
俺に隠してる事ないか?
今スマホ見たでしょ?!
隠してる事ないのか?
もういい加減にしてよ!
スマホを床に投げつける嫁。
本当に何もないか?
当たり前でしょ?信用出来ないの?
嫁、また涙が溢れ始める。手も震えていた。
しばし睨み合い。
嫁の震えが大きくなり、肩までガタガタし始める。
嫁が狼狽え取り乱せば取り乱すほど冷静になる俺。
お前の良心を信用したい。30分時間をあげる。よく考えてくれ。
そう言って嫁のスマホを取り上げて寝室へ追いやった。
そして30分後、嫁は自ら告白した。
もう一つスマホ持っているだろ
嫁は単に逐一LINEを消していただけだよ。だけど後で見つけてしまったものもあるんだけどね。それはまた書きます。
既に夜10時は過ぎていたが、間男を今すぐここへ呼べと言うと従順に従う嫁。
正直、この一連の嫁の対応は評価した。観念し、洗いざらい打ち明け、間男を差し出し、許しを乞う嫁の態度には。
ここで間男連絡つくも、来れないという。
間男の嫁と1歳の娘が熱を出して寝込んでいるとの事。
興信所では調べてなかった事実が間男本人の口から出てきたんだ。
そして翌日会う事になった。
間男、かなりのイケメン。
待ち合わせのファミレスに入ってくるなり土下座する間男。
綺麗な嫁に一目惚れしたが、家庭を壊してまでとは考えていなかった。火遊びのつもりだった。慰謝料等可能な限りの誠意は見せるつもり。
そして泣きながら、間嫁には内緒にして欲しい、子供に持病があるので一生二人を支えなければならない、と連呼。
鬼気迫るその態度に俺は態度を保留した。
一週間考えた。
そして俺は嫁との再構築を選んだ。
間男からは数十万の慰謝料を受け取り、後は不問とした。
勿論、弁護士に相談して再構築での相場では貰っている。
嫁は元の嫁に戻った。
明るく、よく喋り、どこでもベッタリの嫁に。
俺は嬉しかった。再構築は自分との戦いだと弁護士に言われたが、本当に嫁と別れなくて正解だったと思った。
同僚にも明るくなったと言われ、仕事も順調、昇進も果たした。
そして10ヶ月後、嫁が妊娠した。
順風満帆な家庭生活の始まりだと思った。
うかない様子の嫁に、それってオメデタなんじゃないの?と浮き足立つ俺。嫁は、でも不妊治療も何もしてないのに・・・・と、やっぱり浮かない様子。
なんで嬉しくないんだ?と聞くと、まだ決まったわけじゃないし、と。
兎に角今日病院に行って来いと言って俺は出勤。会社ではにやけ顔のままで、ちょっとやばかった。
夕方嫁から連絡。
妊娠2ヶ月目。
馬鹿な俺は早退した。
家に帰るや否や嫁に抱き付いた。
嫁も喜んでいた。
でも後で思うと、俺と嫁ではかなりの温度差が確かにあったんだよな。
嫁友、凄く喜んでくれた。
私の方は彼氏と別れたばかりだっつうのに!と、肩を小突かれた。
俺は誰にもまだ言わないでくれよ!と言いながら周りの皆に子供を授かった事を言い回った。本当に馬鹿だった。
そして夜、仕事を終えて執務室を出た所で嫁友と会った。嫁友、ずっと廊下で俺の事を待っていたんだ。
そして笑いながらも申し訳なさそうに俺に言った。
怒らないで聞いて欲しいんだけど、後輩君の子供に間違い無いんだよね?と。
頭にきた。
この一言で全て台無しだと思った。
せっかく過去を忘れて前向きに生きていこうと思ったのに、また蒸し返すつもりか!と。
無意識の内に怒鳴っていた、らしい。
気付いたら泣きながら頭を下げまくる嫁友と、両腕を同僚に抑えられる俺。
そして俺も泣いていた。
嫁は明るくはなかったが、暗くもなかった。身重だから神経質になってるのかも、と思ってたんどけど・・・・・
だけど時間が経つにつれ、嫁友の一言が俺の頭の中でドンドン膨れ上がっていった。
疑いたくないのに疑いはじめる自分が嫌で嫌で堪らなかった。ある意味一番辛かった時期かもしれない。
そして三ヶ月に入る直前、検診から帰ってきた嫁についに聞いてしまったんだ。
お腹の子、順調か?
うん、順調だよ
そうか・・・・
うん・・・・
お腹の子の事で相談があるんだけどさ
うん・・・・
ごめんな、変な事言うかもだけど、俺・・・・
うん、いいよ・・・私が・・・全部悪い
そのまま嫁は泣き出した。
俺はそれで全てを悟った。
暇さん心配やわ
その後、子供が生まれるまで時間軸があやふや。思い出したくもないかな。
事実としては、間男呼び出し、もうまな板の上の鯉状態。間男、はっきりと嫁の事が好きだとカミングアウト。別れられなかったと。
で、嫁の方もしかり。
間嫁が一番可哀想だった。間男と嫁に対して怒りはあるものの、間男に捨てられたら私達生きていけない、と。子供抱き締めて泣いてる姿は見てられなかった。
両家の家族巻き込んで修羅場。
その時の結論は、子供産まれて父親がはっきりしてからというもの。
俺、この時点で嫁との再再構築は無理だと思いつつ、子供が俺の子なら俺が育てるつもりだった。もし間男の子なら間男に認知させて、養育費等責任持たせるということ。
すぐに嫁に仕事辞めさせ、実家に送り返した。一緒に住む自信が無かったし、嫁も口には出さないものの、俺とは居られなかったはず。
その後出産、間男の子供と判明。
すぐに離婚届提出。財産分与なし、慰謝料等なし。
だが嫁父から強引に少なくない金額を渡された。
間男は間嫁と離婚する事はなく、間男は約束通り認知した。実際の養育費等は間男親が面倒見ることになったっぽい。
最後に元嫁から、子供の名前に俺の名前の一文字を使わせて欲しいと頼まれた。
よく考えて、そして断った。
こうして俺の結婚生活は終わった。
なんにも残らなかったけどね。
おろせんだろ、おろしたら不倫してることバレル
辛いがその後についてあったらお願いします。
あれからウン年、俺は女っ気のない生活をしている。
元嫁父とは年賀状のやり取りとたまに電話で話す程度の付き合いがある。
元嫁、誰とも結婚する気は無いらしい。嫁父も一緒に子育てする覚悟は出来てると言っていた。
因みに聞かれる前にいっておくけど、元嫁友とは友達のままです。たまに飲みに行くけど、騒動後に三人の男と付き合って別れているみたい。俺同様に恋愛運が無さそうです(笑)。
つまらん暇潰しに付き合ってくれてありがとうさんね。
暇さん、元嫁友と付き合えばいいじゃん
貴方も元嫁さんも大切なものが違ったんだよ
それぞれ幸せになれば良いんだけどね~
難しいわな
命をカミソリで削ぎ落とすくらいの制裁を不倫カスには課すべきなんや!
>暇潰しの名前の一字をつかわせてほしい
これどの面とどの口がいうの?血の色赤じゃねーだろ、元嫁?
もうサイコパスの領域じゃん。
不倫野郎のガキなのになんで暇潰しをかませるんだよ?
その無神経さが本当に気持ち悪いよ。
暇でもないんだけど、ちょっとだけ。
元嫁と間男は騒動以後は会っていない。嫁の拒絶が半端ないし、間男もさすがに懲りたみたい。あの間嫁を泣かせるような事はないだろうと俺も思う。大体、これからの人生間男親の監視状態に置かれているし。
それと堕胎の選択肢はあの時点で俺も元嫁も全く無かった。あり得ないよ。
元嫁からの名前一文字拝借懇願はよく分からん。だけど、元嫁父の話だと、再婚は俺以外はあり得ないと言ってたらしい。今更だけどな。
まあ、あれから◯年経つから色々と状況は変わってるかもしれん。人の心なんて分からないし。
少なくとも、俺自身当時ほどあいつらを恨んでもいないしね。
時間はいろんな意味で優しいよ。
皆様こそ、良い年になるといいね。
暇潰しの戯言に付き合ってくれて有難う。
乙
いい出会いがあるように祈るよ