夜中にオッさんの肛門のびんと格闘した話でもする
当時おいらは田舎の病院に勤めていた。
ある日の当直の夜、彼は来た。
その日当直に入り、数人の患者をこなし、夜も過ぎたので当直室でうとうとしていた。
1時頃だったろうか、電話がなった。
「お尻の調子が悪いので診て欲しいとの患者さんが来ています。」
はあ、ため息を付いて診察室に向かった。
オッさんは60台前半、痩せ型で診察室で俯いていた。
訴えを聞く。
昼前よりお尻の調子が悪い・・・、何とかして欲しい・・・、
しかし具体的なことははっきり言わない。
ちょっといらいらする。
だったら夜中じゃなく午後から来いよ、と思いつつ診察をする。
しょうがないので、肛門を診ることにした。
直腸診だ。
横になってもらい、膝を抱え込んだ体勢にしてもらう。
手袋を付けキシロカインゼリーを塗り、人差し指を肛門に挿入する。
緩いのだ。
通常肛門は肛門括約筋にてしっかり閉じている。
潤滑剤を塗って指を入れてもそれなりの抵抗があるはずだ。
それがほとんどない。
そのまま奥に指を進める。
硬い壁に当たる。
え?明らか異物だ。
本来あるはずのない物がそこにある。
「肛門鏡持ってきて。」
看護師に伝える。
肛門鏡を挿入、覗いた向こうには字が書かれた平たい壁が見える。
肛門鏡を動かし、字を読む
「オロナイン軟膏」
真夜中にオッさんのケツの中で、その文字を見た衝撃は今だに忘れられない。
クソワロタ
再び指を突っ込んでほじくり出そうとするが、歯が立たない。
大きさははっきり憶えていないが、直径5~6cm位だろうか。
直腸にぴったりはまっており、その隙間に指が入らないのだ。
にっちもさっちも行かないので、応援を頼むことにした。
これは消化器外科の範疇だな。
「今日の外科待機の先生は誰だっけ?」
「院長先生です。」
「・・・、院長先生呼んで・・・」
しょうがないので夜中だが院長に連絡、事情を説明し来てもらうことになった。
外科医、50代後半だが10は若く見える。
沈着冷静、スマートでダンディ。
夜中なのに何故かスーツ。
続けます。
夜間に呼び出したことを詫び、状況を説明する。
院長は表情も変えず、
「じゃあ、僕がやってみよう。」
手袋をつけ、ゼリーを塗り、肛門に指を入れる。
おいらとは違う。
攻める、攻める。
グイグイ攻める。
おいらと看護師で痛みで動くオッさんを抑えつける。
しかしびくともしないオロナイン。
院長の顔がわずかに歪む。
「オペ室でやろう、ルンバールだ。」
腰椎麻酔下で処置を行うことになった。
準備に向かう院長。
おいらは点滴や前処置の指示を行い、もう一つの仕事に向かった。
家族への説明、ムンテラだ。
世の中にはいろんな形の愛がある。
人に迷惑をかけず体に害がないなら、それはそれでいいと思う。
与謝野晶子も夫婦でバナナで遊んでいた。
しかし状況を説明した時の奥さんの表情は、彼の性癖は夫婦で共有されたものではなかったことを物語っていた。
「なぜ、なぜ、なぜなんですか!」
おいらにいくら聞いても答えられない質問を繰り返しながら、奥さんは震える手で同意書にサインしてくれた。
腰椎麻酔を行い、砕石位で異物摘出を行う。
異物鑷子ではつかむことができず、院長は整形のアレとか婦人科のコレとか、次々に突っ込んで摘出を試みる。
ついにビンの蓋が引っかかり、引きずり出すことができた。
ちょっと便のついた蓋にオロナイン軟膏の文字が光る。
続いて本体の摘出を行う。
びん自体は掴むことができるのだが、軟膏で滑り手前に持ってくることができない。
そうこうしているうちにビンが割れた。
破片で出血が多くなる。
こうなれば壊して出すしかない。
端から破砕し、細切れにて出すことができた。
あとは止血剤を突っ込んで終了。
所要時間は約1時間。
オッさんは麻酔が効いて高鼾。
ちょっと殴りたくなる。
「後はよろしく。」
お礼を言うおいらを後に颯爽と帰っていく。
ダンディだ。
冷えたベッドに横になる。
今日は外来だったな、早く寝なきゃと思う。
時計は4時を過ぎていた。
朝、患者は外科に引き渡した。
その後は経過もよく、数日後には退院したとか。
最も翌日には娘さんだろうか、若い女性が見舞いに来たらしい。
一言も喋らず、しばらく睨みつけて帰っていったそうな。
これでこのオッさんの話は終わり。
命は助かったけど、家庭はどうなったやら。
後日、大学に行った時この話をしたら盛り上がった。
結構同じような症例はみんな経験しているようだ。
色々聞いた話だが・・・
ウルトラマンの人形はでこぼこしていたので取り出しやすかった。
スティク糊は取り出すのに苦労した。
膣に入った卵をつかもうとしても、奥に奥に入っていく。
結局壊して取り出し、人類初の産卵に失敗した。
膀胱炎を繰り返す女子中学生のレントゲンを撮ったら、膀胱に鉛筆が入っていた。
肛門に入った飛行機の模型は羽が引っかかり開腹手術
学会で発表され、会場は大爆笑。
バイブレーターが膣を食い破り腹腔へ。
開腹したら肝臓の近くにあった。
皆さん、快楽を追求するのは悪いとは言わんが、
人に迷惑をかけるな!
体は大切にしろ!
以上、よろしくお願いします。
m(_ _)m
ぢゃあ、おやすみ!
ひどすぎるww