625: 山田 投稿日:2010/03/08(月) 13:42:51 ID:3DdO9q7wO
山田私子/当時24/法律関係勤務
鈴木彼太/22/パチンコ店店員
◇修羅場◇part93
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三つも年下だし、服装も皮ジャンにヴィヴィアンにごついシルバーアクセじゃらじゃら。
パンク系というかビジュアル系でチャラそう。
住居も私家から電車で一時間ほどかかる他県とのこと。
だから恋愛的な意味では全く眼中に入れてなかった。
しかし話をしてみると、彼太はそんな見た目に反して非常に内気で照れ屋さん。
人の目を見て話すのが苦手らしく、寡黙。
二人で満員電車に乗り合わせた際などは、気が付くと彼太は車両の遥か彼方に。
「なんであんな方にwww」と笑う私。
彼太は、「車内であまり私子さんに近付きすぎたら、私子さんが嫌がるかもしれないと思って…」
少し距離を開けなきゃと思ってる内に人が増えてきてどうにもならなくなって、気が付いたら人混みに流されてたらしい。
満員電車も乗り慣れていないとのこと。
こんな見た目なのに世間ずれしてないんだと脳内変換でギャップ萌えする私。
そして彼太は動物好き。
飼っているハムスターが死んだときなどはショックすぎて泣き腫らして仕事を休んでしまったと言っていた。
私家でも猫を飼っているので、甘ったれ、だけど優しい人なんだな!と好印象に傾いた。
比喩でも何でもなく、君は僕の星だ月だ太陽だ状態。女神とばかり崇められ、よくそんな臭いセリフ出てくるなと呆れもしたが、
生まれてこの方こんな熱烈な言葉で口説かれるのは初めてだし、悪い気持ちはしなかった。
彼太は某人気歌手似の美少年でそんなロミオなセリフも不思議と嫌味にもならず気持ち悪くもなかったのだ。
そんなこんなで押し切られる形で彼太のことをよく知らないままお付き合いがスタート。
しかし付き合うことが決まってすぐ、彼太が別の女の子に遊ぼうと誘いをかけていることが発覚。
「どういうこと?」と訝る私に、
「私子ちゃんが嫉妬やいてくれて嬉しい!私子ちゃん可愛い!」と彼太大喜び。
私も恋愛初期で浮かれてたから、彼太のこの言葉ですっかりいい気分になり有耶無耶に。
しかしその後も、ん??と首を傾げる行動を連発する彼太。
彼太は何かにつけ「俺なんか」とか「もう別れる」とか言う人だった。
「私子ちゃんは頭がいいし、俺なんかとは住む世界が違う。」「俺なんか高卒だし、仕事もこんなだし…。」などとよく言っていた。
(※私は大卒だが東大とか一流どころを出ているわけじゃない)
だから私は彼太の滅茶苦茶な言動を劣等感の裏返しなのかも?と思ってて、年下だし、許してあげなきゃみたいに思っていた。
「もう何もかもどうでもいい!」
「俺なんかどうなったっていいんだ!」とか自暴自棄なことを言い出した。
あれ?振られてショック受けたのは私じゃなかったっけ?と思いながらも、仕事の合間を縫っては彼太を慰める私。
それまで私の周りには駆け引きで別れを持ち出すような人間を見たことなかったし、
よもや彼太がそんなタイプだとは思わなかった。
以来私は「構ってほしい」の裏返しで「別れる」なんだと解釈し、別れの言葉に対しても優しくするように努めた。
私は平日は朝から深夜まで仕事が忙しいし、夜は終電で帰ってきたらすぐ寝てしまうが、
彼太は昼の三時から仕事開始なので大抵朝方まで起きている。
私はメールは要件以外に使わないけど、彼太はメールがとても好きでチャットみたいな一言メールを何往復もしたがった。
私と彼太は休日も生活時間帯も違っていたから、彼太が希むほど構ってあげられていない自覚もあったから。
年上だから。
彼太に優しくしてあげないと!彼太が女の子と遊ぶのも多めにみないと!と思っていた。
遠方に住んでいることも手伝いなかなか予定が合わない。
そんな中、彼太からデートの誘い。「○日はどう?」
その日は国民の祝日だった。
珍しく丸一日一緒に居られる貴重な日だなあと思い、私は当日を楽しみにしていた。
しかし。
彼太は私に無断で別の友人たちとの飲み会の約束を入れてしまった。
「どういうこと?」と怒る私
「その日が祝日だって知らなかったから、私ちゃんが仕事終わるまで友達と飲もうと思ってた!」と彼太。
アミューズメント業界で働いてるお前が祝日知らないなんてありえんの?
よしんば知らなかったとしても一言私に断るのがあるべきマナーじゃないのか?
そう思いつつも、土日休めない業種なら友人たちと会える日は珍しかろうと、ぐっと堪えた。
「わかった。私もその日は友達と遊ぶからいいよ。」と私からキャンセルを申し出た。
せっかくの祝日に彼太の飲み会終わるのを待ってるなんて嫌だったし、
もしかしたらそう言えば、先約の私を優先してくれるのでは?と淡い期待もあった。
しかし飲み会に行くことを選んだ彼太。
ほぼ同時期に知人から彼太がまた別の子に遊びの誘いをかけていたという情報が入ってきた。
こうなるとその友人との飲み会も、女の子でもいるんだろうなと容易に想像がついた。(事実、その通りだった。)
彼太曰く、「二人きりで会わなければ別によくない?」「メールくらい好きにさせてよ!」
そこら辺の考え方はひとそれぞれだし、まだ若いし、遊びたいんだろうなと、無理矢理自分を納得させた。
もちろん彼太には何も告げなかった。
祝日当日は快晴。一泊一人三万五千円と奮発した温泉宿は快適の一言。
夕食も素晴らしく親友と舌鼓を打っていると、彼太からのメール。
「飲み会つまんない」
数時間置きに、何をしてるのか伺うようなメールがパラパラと届いたが、いやな気分を持ち込みたくなかったので無視した。
夕食後にひとっぷろ浴び、晩酌でもという時にまた彼太からのメール。
「今から○○(私家の最寄り駅)まで行こうと思うんだけど…」
無視しようと思ったが、季節は冬。他県住みの彼太に無駄足を踏ませるのは、と思い、友人と旅行に来てるから会えない旨を送信。
返事は無かった。
またか、と思いつつも、黙って旅行に行った私も大人気なかったのか?と反省し、
「仕事終わったらそっちまで行くから、別れるなら別れるで会って話そう。」とメールを返信。
その日は彼太は仕事が休みのようだったので、深夜からだが会って話すことに。
私は普段終電まで仕事をしているので、それだと彼太の住む他県までは電車が終わってしまい行けない。
ご飯休憩抜きで仕事をこなした。
22時前になんとか仕事を切り上げ職場を飛び出して最寄り駅から電車に乗った。
彼太が住む町に向かう為には二回乗り換えが必要だ。
最初の乗り換え駅に差し掛かろうという段に、彼太からメールが。
「仕事で疲れてるのに来てくれるって言ってくれた気持ちだけで十分だから、今日は大丈夫!」
彼太にも人並みの気遣いが出来るんだなと感心した私はお言葉に甘えることにした。
明日も朝から仕事だし、正直他県まで往復するのはキツい。今日はろくに食事も休憩もとっておらず、疲れていた。
それに、もしかしたら彼太にも遅い時間が迷惑なのかもしれないし。
電車を降り、自宅に向かう電車に乗り換えて、お言葉に甘える旨メールを送信。
すると彼太から返信が。
「そこは空気読んで来るって言えよ」
あれ?こいつ頭おかしくない?
前から思っていた疑惑が、確信に変わった。
そしてこの時、彼太が今まで一言たりとも、私に謝っていないことにも気付いた。
いつだって話をすり替えたり、逆ギレしたり、電話やメールを無視したりで、話し合いもやんわり拒否されてきた。
もう無理。私もこの恋の終わりを悟った。
私ももう彼太とは会う気はほぼなかった。
その後彼太の言動はメンヘル方向にシフトしていった。
「もう死にたい」とか「誰か助けて」とかあからさまな感じのメールを時間帯問わず送ってくる。
私は彼太からのメールを別フォルダに格納し、着信音をサイレントにして揺さ振られないようにしてた。
そしてやってきたXデー。
雨の木曜日の夕方だった。
「もうダメだ」
「相手を殺すか、俺が死ぬか、どちらかしかない」
何事かと思って彼太に電話したが、出ない。
モヤモヤしながら仕事をしていると、携帯に見慣れぬ市外局番からの電話が。
仕事用の番号とは使い分けているのでなんだ?と思って出ると、
「○○県○○署の○○ですが、山田さんの携帯でよろしいですか?」
警察ktkr
「田中彼助さんがあなたを身元引受人に希望していまして…」
え??
田中彼助って誰??
よくよく話を聞くと、田中彼助さんが元恋人の女性にストーキングを行い、
自宅前で待ち伏せされた元恋人の女性が恐怖から警察に通報、駆け付けた田中彼助さんを捕獲。
田中彼助さんは黙秘権を主張し、弁護士を呼べとわめいて私の名刺を出したらしい。
※私は弁護士ではない
点が線に繋がった瞬間、私は溜まらない疲労感に押し潰されそうになった。
そうか、偽名だったのか
そうか、別に本命がいたのか
そうか、その上で私を便利に使うのか、と
私は、自分が弁護士ではないこと、田中さんの近親者ではないことを告げて警察からの電話を切ろうとしたが、警察の方も何やらほとほと困っている様子。
私は従兄(弁護士)に電話を掛けた。
従兄に掻い摘んで事情を説明すると、従兄大激怒。そんなクズはほっとけ!と言われ、私は泣いてしまった。私は私なりに彼太が好きだったのだ。
結局、駆け付けてきてくれた従兄の車で彼太改めて彼助がいる警察署に向かうことに。
警察署の方が、彼助が呼んだ弁護士さんなのだと従兄と私を紹介する。
戸惑い気味のご両親に、私が「私が彼助さんの友人なんです。」と名乗りました。
ご両親は弁護士である従兄の登場に大変恐縮したみたいで、何度も何度も頭を下げてお礼を言われました。
その後従兄と、署員の方と、ご両親が話し合い、
大事にはしたくないので、従兄とご両親が元カノさんの家に謝りに行くことに決まった。
ストーカー被害を受けていた元カノ・Aさん宅には、Aさんを心配してか彼氏のBさんも来ていた。
お二人は同じ職場の上司と部下の関係だそう。
お二人が付き合っていると知った彼助は職場に乗りみ、Aさんのみならず、Bさんにも暴言を吐いたりしており、
お二人とも彼助にはほとほと迷惑をしていたらしい。
Aさんと彼助は遠距離で三年ほど付き合い、一旦別れ、就職を理由にAさんが彼助の地元に来ることになり寄りを戻したが、
遠距離の時は気付かなかった彼助の言動の不審さに、Aさんは不信感を覚えていったそうだ。
(女の子とのメールを見たりしたらしい。)
勤務先のパチンコ店の寮に暮らしながら給料の殆どを服に注ぎ込み、
月給の半分もする服をポンと買ったりしているのを見て、
Aさんは彼助とは将来を考えられないと思ったそうだ。
Aさんが転職や貯金をする気はないのか?と尋ねると、
彼助は「高卒の俺なんかじゃできる仕事はないから。」とか「先輩に頼んで893になろうかな!」とか言いだす始末。
Aさんは彼助と別れを決断。
まもなくBさんと付き合いだしたが、彼助は別れてくれず、
再三Aさん宅に押し掛けたり、度を超す頻度のメールや電話をしていたらしい。
Aさんが彼助の地元に引っ越してきた時期と、私と付き合いだした時期がほぼかぶっていること。
22だと言っていた彼助はどうやら24歳らしいこと。
「三つも年下」と思っていたが、学年で言うと一個下なだけだった。
名前だけじゃなく年齢も嘘だったのだ。(余談だが誕生日も嘘だった)
もう二度とこんなことが無いなら、とAさんが言ってくれて示談となり、
夜が白みはじめた頃、彼助が釈放される運びになった。
その頃には既に私はとても疲れていて放心状態だった。
帰ろうにも上手に歩けず、従兄に支えられながら立ち上がった。
ちょうどそこに、従兄にお礼を言うべく彼助のご両親がやってきた。
私はご両親の後ろに彼助がいることに気付いてなかった。
「俺に好きだ好きだと言いながらあんたは影で男といちゃついてんのか!女はこええよな!」
私はもうこいつには何を言っても無駄だと思い、従兄に支えられながら何も言わずに東京に戻った。
後日私と従兄の元には彼助のご両親から丁寧な御礼状が届いた。
従兄には慰労金も振込まれたらしい。
翌日からは彼助からの電話とメールの嵐だった。
「あの男が私子ちゃんの親戚だって知らなかったけど、あんな場面見せられて俺がどういう気持ちになると思うか考えてよ?」
「私子ちゃんにとって俺みたいなクズの気持ちなんか知ったこっちゃ無いってんならアレだけど。」
「偽名を名乗ったのは自分の名前が嫌いだからなんだ。」
「俺の両親は酷い奴らなんだ。犯罪者なんだ。そのせいで俺は大学にも行けなかったんだ。」
「年齢を偽ったのは俺は2年間ヒモをやっててその時間を無かったことにしたかったんだ。」
「こうやって本当のことを告げたのは、私子ちゃんと真剣に付き合いたいからなんだ。」
「嘘を吐いていたカッコ悪い俺じゃダメですか?」
すべて無視していたら「リスカした」と写真添付されたメールが来たりもした。
学生の頃から何年も使ってきた番号とアドレスだったが、もう彼助とは一切関わりたくなかったのだ。
こっちまで病気になりそうで。
せめてもの救いは、彼助に自宅を教えていないことと、彼助とセックスまでしなかったことだと思った。
それから半年後、私は今の恋人と出会った。
男なんてと不信感いっぱいだった私の心を、時間と手間を惜しまず使って解きほぐしてくれた。
今年の私の誕生日に入籍予定です。
厄落としに投下しました。
長々と読んでいただき&ご支援ありがとうございました。
おめでとう!!
うんと幸せになってくれ!
偽名でも働けるのか?
普通の仕事場なら履歴書と身分証を確認すると思うんだが
乙乙!
逃げ切り乙。
元カノには悪いけど、あなたは家も知られてなくて良かったね。
共通の知人がいるようだけど、そこから彼太のその後はわからないの?
携帯変えただけですぐに諦めたと思えないw
私に偽名を名乗っていただけで、勤務先では本名なんだと思います、多分。
わかんないですが。
>>673
知人からはたまに話は入ってきます。
彼助さんの脳内では、
「身分違いの恋に戸惑って私子ちゃんを突き放してしまった臆病な俺」
ということになっている模様。
ストーキングや偽名のことは伏せて悲劇の俺、過ぎ去った素敵な思いで☆彡
…恐ろしいことです。
最後まで読んでから思えば、、完全にただのストーカー行為だもんな
ギャップどころかまんま変質者だったわけだから、ギャップ萌え属性の落とし穴だよな
自分も気を付けよ…
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