帰って嫁と晩酌してたら寝ちゃってた
(1)
地方の中堅企業勤務。医療施設を多数抱えてる。
この前年から20年ぶりに高卒採用を復活。
嫁はその一人で総務課に所属。いきなり一人でうちの医療施設の工事関連の発注業務全部任された。
まともな指導もないまま、前任者の資料見ながら一人で改設・修繕工事など進めてた。
そもそも仕事をどう進めたらいいのかさえ不明な点も多かったらしい。
上司や先輩に聞いても、「まず自分一人でやってみろ、学生じゃないんだ」と突き放されてた。
業者のおっさんらが可愛がって親切に教えてくれて一応順調に見えたが冬になって色々問題が発覚した。
(2)
仕様書の不備、国や保健所への届出の不備、積算・工程管理の甘さ・工期の遅れ、
関連部署との調整不足、他にも多々あるけど、そんなことが関連部署から指摘されて結構な大事になった。
総務の課長はその年来たばかりの50代元お役人。全くヤル気なしで嫁の仕事のチェックもしてなかった。
その他の課員も総務ベテラン揃いのくせに自分の担当業務以外は基本見向きもしない。
社内での言い訳が、こいつらが揃って「嫁を信頼して任せていた。もっと相談してくれたら良かったのに」と。
俺が経緯知った時、嫁嫌われてんじゃね?と思ったが食事とかはよく誘われてたみたいで、
仕事に対して課長以下無責任な奴が多かっただけのようで、
後日こいつらの担当業務内での仕事の雑さも指摘されてた。ベテランだけに取り繕うのが上手かっただけ。
監査室が調査したら、嫁の業務の進め方に関して
「確かに甘さはあるが、全て上司に報告して許可を得てるし、不正も規定に違反もしていない。
そもそも社の根幹である医療施設の工事を18の新人一人に任せてると事が有り得ない」と、全うな判断下してくれた。
嫁は4月から毎月、実質最低100時間超えの残業。
150超えてる月もあった。残業申請は全くしてなかったけどPCのログイン履歴なんかですぐにわかった。
総務課長の監督放棄なのは明らかで、懲罰異動(クビにはなかなかできん)、
他の中堅職員も差こそあれペナルティ科されることになった。
総務はかなりのメンバーが一新された。
嫁と嫁親にはうちのトップと人事部長が謝罪して、受け入れられた。
後で聞いたけど嫁父は
「社会人なら多少の残業は当たり前ですから、甘やかさんとビシバシ鍛えてください」と若干感覚の違う人でした。
嫁の業務の方は俺が前に総務に居たこともあって、俺の課で嫁ごと引き取って、
もう一人うちに経験者いたので、そのメンツでリカバーして、少し年度を超えたけど、小さい傷で終わった。
(5)
嫁の方はそのままうちの課(経営戦略課)で面倒見ることになったんだけど、
うちの課で歓迎会した時に、俺が乾杯前に
「辞めずによくがんばったな、それだけでたいしたもんだ」的なこと言ったら、
気丈な嫁が眼に涙溜めて言われた。「この会社でそんな優しいこと言われたの初めてです」
一緒に居たおバカな部下たちが
「課長、泣かしたーーー!!!」
「え、今の口説いてたんちゃう?パワハラや!」
「ちゃうセクハラや」「ホモやと思っとったけど口リやったんや」
と笑いにしてくれて助かった。嫁も笑ってくれて助かった。
まさか後日そのとおりになるとは・・・この時は本気でそんな気はなかった。
最後の発言の奴は後日厳しく査定しておいた。
(6)
嫁20(結婚時) 高卒新人 小柄 細見 体重軽め 胸やや大き目 美人(だと思う)
そこそこのランクの公立高校に通ってたが、経済的な事情で就職。
無多少無理すれば大学通えたが、奨学金借りてまで通いたい大学も近くにはなかった。田舎だしね。
俺43(結婚時) 毛深いおっさん
うちの業務覚える意味で俺のサポートしてくれてた事務職員の下に付いて、
会議資料作成や部下の業務サポート、他課との連絡なんかをやってもらってた。
元々嫁は真面目で丁寧に仕事するタイプなので、
普通に指導されてたらこの程度の業務すぐ覚えて、他の業務も任せるようになった。
気配りもできる子なのでうちの課員からは可愛がられるだけじゃなくて、なかなか役に立ってた。
1年経たないうちに(嫁入社2年目の冬)にその女性が産休に入ったけど、悲しいかな補充無し。
この頃には嫁も自分の担当業務を持ってたんだけど、そのまま俺のサポートもしてくれるようになった。
(7)
3月決算期。どこもそうだけどこの時期、特にうちの課は1年で1番残業が多い。
ある日最後俺と嫁だけになったので、もう帰るように促したら
「今日から私お酒飲めるようになりました」
「お、そうか、おめでとう。じゃ記念に一杯だけ奢ろうか」
「はい、ごちそうさまです!」
時々飲みに行くようになって、ある時帰り道に嫁が俺の袖引かれて、嫁が俺の顔見てたので黙ってキスした。
付き合うことになってすぐに、俺の年齢が年齢なので、
結婚を考えてくれるか、その気がないならはっきり言って欲しい。と言われた。
年齢差に対して葛藤はあったけど
(社員の半分が女性という特殊な業界だし、職場結婚は多くて、上司部下もわりとあったので、そこはあんまり抵抗なかった。)、
結婚願望はあったので承諾。あれ、俺プロポーズされたてるやん。
(8)
嫁ご両親に挨拶。
嫁父「思ってたよりは年上ですが、本人が良かったら良いと思います。」
嫁母「以前の職場での状況は思うところもあったのですが、私は何もしてあげられませんでした。
今はすごく生き生きとしています。俺さんでしたら安心してお任せできます。」
籍入れたので、社内ルールにより来年4月に俺か嫁が異動対象。たぶん俺かなぁ。
そろそろ昇進の時期だし。籍入れたのは今年の9月です。現在は子作りに励んでます。
よし、昨日俺が寝ちゃってたから今から励んでくる。
裏山鹿